◆好決算でも株はすぐ上がらない…個人が取れる「決算ドリフト」という隙
ゴールドマン・サックスに入社し、マネージング・ディレクターに就任、アジアのトレーディングチームを率いた。その後、200兆円超の運用残高を誇る世界有数の機関投資家・ゆうちょ銀行で投資戦略を牽引。そんなマーケットの最前線を知り尽くしたトレーダーが、個人投資家が一生使える「オルカン」「S&P500」の“次の投資術”を徹底指南した初の著書『最後に勝つ投資術【実践バイブル】 ゴールドマン・サックスの元トップトレーダーが明かす「株式投資のサバイバル戦略』(ダイヤモンド社)。投資初心者でも実践できるよう、徹底的にわかりやすく投資手法を体系化。ゴールドマン・サックス仕込みの「投資思考」や「オルカン+4資産均等型」といった実践的なポートフォリオ(資産配分)の構築方法、有望な個別株の見つけ方まで、「オルカン」「S&P500」の“次に知るべき”ノウハウが満載!
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ゴールドマン・サックス時代に捨てた「常識」
ゴールドマン・サックス時代の私は、「市場は効率的である」という見方をしていました。しかし、超過リターンを上げ続けているファンドが存在することを目の当たりにして、市場には非効率性が残っており、「エッジを活かせば市場の非効率性を突いて超過リターンを上げることができる」という考えに変わりました。
アカデミアが証明する「勝てる根拠」
アカデミアの古典的な研究にも、市場は効率的ではなく、一部非効率的なところが残されているということを示した研究があります。
半世紀を経ても色あせない「真実」
Ball and Brown[1967]やBeaver[1968]という論文が起点となる一連の研究があるのですが、発表から50年以上たった今でもこれらに関して繰り返し日本市場でも実証研究が行われています。
【解説】株価は「ニュース」に遅れて反応する
ここで挙げられたBall and Brownらの研究が個人投資家にとって何を意味するのか、少し噛み砕いてお話ししましょう。
彼らが発見し、今なお実証され続けていること。それは、「良い決算発表が出ても、株価は瞬時にその情報を織り込んで適正価格まで上がるわけではなく、しばらく時間をかけて上がり続ける傾向がある」という事実です。専門的には「決算発表後のドリフト現象(PEAD)」などと呼ばれますが、要するに「市場の反応にはタイムラグがある」ということです。ここに、私たちが勝てる大きな隙があります。
「情報の歪み」こそが利益の源泉
もし市場が完全に効率的なら、好決算が発表された0.1秒後には株価は高値に張り付き、そこから利益を得る余地はなくなっているはずです。しかし、現実は違います。
投資家が情報を分析する時間、本当にその業績が続くのか疑う心理、あるいは単に気づくのが遅れるといった人間的な要因により、株価はゆっくりと修正されていきます。この「反応の遅れ」や「評価の歪み」こそが、先ほど述べた市場の非効率性の正体であり、私たちが狙うべき収益のチャンスなのです。
個人投資家が「決算」を見るべき本当の理由
50年以上前の論文が今も引用されるという事実は、テクノロジーが進化した現代においても、本質的な「株価の動き方」は変わっていないことを証明しています。つまり、決算書や開示情報を丁寧に読み解き、市場がまだ気づいていない、あるいは過小評価している価値を見つけるという地道な作業は、決して無駄な努力ではありません。
それは、「運」ではなく、学術的にも裏付けされた「確率の高い勝ち筋」なのです。機関投資家たちが巨額の資金ゆえに動きにくい中で、個人投資家がこの「タイムラグ」をいち早く捉えることができれば、それは強力なエッジ(優位性)となります。
※本稿は『最後に勝つ投資術【実践バイブル】 ゴールドマン・サックスの元トップトレーダーが明かす「株式投資のサバイバル戦略』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。











