しかし、障害を受けた人はなかなか素直に心の状態を語ることができません。まだ衝撃を引きずっており、精神的なストレスがそうさせないのです。

 そのとき、効果を発揮するのが音楽です。

 人が音楽で快感を感じるとき、脳内では快感をもたらす神経伝達物質が放出されています。それは一般にモノアミン系の化学物質です。モノアミン系のなかでも、特にセロトニン、ドーパミンなどがここでの主役で、それらが脳に刺激を与え、興奮と快感をもたらしているのです。このモノアミン系は、うつ病にも効くとされています。

音楽療法の柱は3つ

 そして、そのドーパミンを活性化させるのが、エンケファリンという物質です。音楽は、このエンケファリンの分泌を活性化させるとされています。

 つまり、音楽はエンケファリンの分泌を活性化させてドーパミンをより多く放出させ、精神的に傷ついた人間の心を和らげるらしいのです。ときには、カウンセラーの言葉よりも大きな効果をもたらすこともあります。

 このような音楽による療法は、精神的な障害だけに限りません。

 たとえば痴呆症です。ドーパミンには注意力をアップさせる働きがあるので、痴呆によって散漫になった脳の状態を改善することができます。音楽がエンケファリンの分泌を活性化させ、ドーパミンをより放出させるからかもしれません。