【まじめな人ほど危ない】宅建で落ちる人の「絶対NG勉強法」とは?
働きながら独学で3年、9つの資格に合格! 大量に覚えて絶対忘れないコツとは?
本記事の書き手は棚田健大郎さん。1年間必死に勉強したのに宅建に落ちた経験をきっかけに、「勉強が苦手な人でも続けられる方法を作ろう」と決意。棚田さんの勉強法をまとめた『大量に覚えて絶対忘れない「紙1枚」勉強法』の刊行を記念して、本記事をお届けします。

【まじめな人ほど危ない】宅建で落ちる人の「絶対NG勉強法」とは?Photo: Adobe Stock

「なぜ?」を深掘りしすぎる危うさ

 本日は「宅建のNG勉強法」についてお話します。

 宅建の勉強をしていると、「これって、なぜこうなるのだろう」「どうしてこの表現じゃないのだろう」と気になってしまうことがあります。真面目な人ほど、言葉の意味をきちんと理解したいですし、曖昧なまま先へ進むことに不安を覚えます。その姿勢自体は悪いことではありません。けれども、宅建試験に限って言えば、その「なぜ?」「どうして?」を何でも深掘りする勉強法は危険です。むしろ、合格から遠ざかる原因になることがあります。

 なぜ危険なのかというと、宅建では、国語的な意味を深く考えることよりも、条文やルールに書かれている文言を正確に押さえているかどうかが問われる場面が多いからです。問題文を読んで、「言っていることとしては正しそうだ」「常識的に考えればこうだろう」と思っても、条文の言い回しと少しでも違えば、それだけで誤りになることがあります。ここで「でも意味としては同じでは?」と考え始めると、一気に沼にはまります。

問われるのは解釈よりも条文の文言

 実際、宅建では条文問題がよく出ます。宅建業法や施行規則などに書かれている内容が、ほぼそのまま選択肢になるタイプの問題です。つまり出題者が聞いているのは、「このルールを知っていますか」ということであって、「この文章を国語的にどう解釈しますか」ではありません。ところが、ここで意味を一生懸命考え始める人がいます。その勉強法は時間を奪うだけでなく、理解を深めるどころか、かえって混乱を招きます。

 たとえば「理由のいかんを問わず」という表現が出てきたとします。文章全体を読むと、もっともらしく見えるので正しいように感じるかもしれません。けれども、条文では「正当な理由なく」と書かれている場合があります。この二つは似ているようで、法律上は同じではありません。それなのに、「辞書ではこういう意味だ」「日本語としてはこう読める」と考え始めると、勉強の軸がずれてしまいます。宅建で問われているのは、意味が近いかどうかではなく、条文の文言と一致しているかどうかです。

法律用語として捉え、時間をかけすぎない

 ここで大事なのは、宅建に出てくる表現の多くが、単なる日常語ではなく法律用語だという感覚を持つことです。日常会話なら言い換えても通じることでも、法律ではその言い回し自体に意味があります。だから、「なんでこの表現なのか」「どうして別の言い方ではだめなのか」と毎回立ち止まっていると、勉強はどんどん進まなくなります。

 しかも、そうやって一つひとつを完全に納得しようとする勉強法は、時間がかかるわりに点数へ結びつきにくいのが厄介です。宅建は範囲が広く、覚えるべきことが多い試験です。すべてを根本から理解し、背景まで調べ尽くしてから進もうとすると、仕事や家事、育児の合間に勉強している人はまず間に合いません。法律を専門的に学ぶならそれでもいいでしょうが、宅建合格のための勉強としては、明らかにコストが重すぎます。

まずはルールを覚え、余計な解釈を足さない

 では、どう考えればいいのか。答えはシンプルで、「宅建はまずルールを覚える試験だ」と割り切ることです。条文問題なら条文の言い回しを押さえる。判例問題なら判例としてどう扱われているかを押さえる。そこに「自分として納得できるか」「国語的にしっくりくるか」を持ち込みすぎないことです。もちろん最低限の理解は必要です。でも、理解のために立ち止まりすぎて全体の学習が止まるのは本末転倒です。

 特に注意したいのは、「なぜ?」を繰り返しているうちに、自分で余計な解釈を足してしまうことです。受験生によくあるのが、似た制度や似た言葉を頭の中で勝手に一つにまとめ、「たしかこうだったはず」と曖昧に覚えてしまうパターンです。すると本番で、「なんとなく見たことがある」「意味としては近そう」という感覚で判断してしまう。これが非常に危ないのです。宅建では、その“なんとなく”が一番危険です。

違いを整理し、教材を素直に使う

 本当に点を取る人は、曖昧な理解のまま広く知った気になるのではなく、違いを違いとして整理しています。似ている制度でも、どこが同じで、どこが違うのかを分けて覚えています。逆に、「なぜ?」「どうして?」を連発している人ほど、深く考えているようで、試験に必要な形で知識を固定できていないことがあります。

 テキストの読み方も同じです。参考書に「この問題の解説は別ページ参照」とあると、不親切に感じる人もいるかもしれません。でも多くの場合、文字数や構成の都合でそうなっているだけで、必要なことはどこかに書かれています。それなのに参照先を見ずに「説明が足りない」と感じ、自分で調べ始めると、余計な情報まで拾ってしまい、かえって混乱します。宅建では、まず教材に書いてあることを素直に押さえることが大切です。受験生向けに整理された情報だけでも、覚えるべきことは十分すぎるほどあります。

覚えながら理解し、真面目すぎる罠を避ける

 もちろん、すべてを丸暗記で済ませろと言いたいわけではありません。ただ、宅建では「理解してから覚える」より、「覚えながら理解がついてくる」という順番のほうが現実的なことが多いのです。最初はピンとこなくても、何度も問題を解くうちに、「この言い回しは大事なんだな」「ここは言い換えが許されないんだな」という感覚が育ってきます。最初から完璧な納得を求めなくて大丈夫です。むしろ初期は、少し機械的なくらいに押さえたほうが、あとから整理しやすくなります。

 宅建の勉強で苦しくなる人の多くは、能力が足りないのではなく、真面目すぎるのです。一つひとつをきちんと理解しようとして時間をかけすぎ、その結果、進みが遅くなり、焦りが出て、さらに細かいところが気になってしまう。こういう悪循環に入ると、勉強しているのに点数が伸びない状態になります。だからこそ、どこで立ち止まり、どこで割り切るかが重要です。

合格のために「脇に置く力」も必要

 宅建の勉強をしていて、「なぜ?」「どうして?」を連発したくなったら、一度考えてみてください。それは本当に今、掘るべき疑問でしょうか。試験で点を取るために必要な疑問でしょうか。それとも、ただ気になっているだけでしょうか。もし後者なら、いったん脇に置いて先へ進む勇気を持ったほうがいいかもしれません。宅建は、すべてを深く理解した人が受かる試験というより、試験で問われる形に合わせて知識を整理できた人が受かる試験です。真面目で考える力のある人ほど、この罠にはまりやすいものです。だからこそお伝えしたいのです。宅建では、「なぜ?」「どうして?」を追いかけすぎないこともまた、合格のための大事な技術なのです。

(本原稿は、『大量に覚えて絶対忘れない「紙1枚」勉強法』の一部抜粋&取材加筆したものです)