鏡を見て悩む女性写真はイメージです Photo:PIXTA

「本当はどうしたいの?」と聞かれて、言葉に詰まることはないだろうか。他人を優先し続け、自分の本音がわからなくなる……精神科医Tomy氏は、こうした状態を「自己愛不全」と呼ぶ。自己愛不全が招く、生きづらさの正体とは?※本稿は、精神保健指定医の精神科医Tomy『愛の処方箋』(光文社)の一部を抜粋・編集したものです。

多くの人が陥っている
「自己愛不全」とは

 健全な自己愛を得られない人々、つまり「ありのままの自分を受け入れられない」人々のことを「自己愛不全」として取り上げようと思います。この自己愛不全は、多くの人が陥っている事態です。世の中の生きづらさのほとんどは、自己愛不全が起こしていると言ってもよいぐらいではないかと考えています。

 なぜなら、人が悩むとき、多くは「自分」について悩んでいます。しかし、本来であれば「自分」について悩む必要などないのです。自分は自分であり、それ以上のものでもそれ以下のものでもない。ましてや悩む対象でもない。

 それなのに、自分のことで悩んでしまうのは、自分をありのままに受け止められていないからです。

 いくつか例を挙げてみましょう。

・言いたいことが言えない人

 いつも他人のことを優先してしまって、自分の意見が言えない人がいます。こういう人は「自分の意見がわからない」ことがしばしばあります。

 人は、他人のことばかり優先していると、自分の意見がわからなくなります。意見がなくなるわけではありません。

 ただ、結局他人を優先してしまうので、自分の意見を意識する必要がなくなってきます。すると、自分の気持ちが、良くわからなくなっていくのです。