問題は、多くの人が長い会社人生の中で、知らないうちに「肩書き=自分の価値」と結びつけてしまうことにあります。

 その結果、定年が近づくほど、自分の存在価値を考えることが怖くなってしまうのです。

46歳、人生の壁にぶつかって
気づいたこと

 実は私自身も、46歳のときに人生の大きな壁にぶつかりました。

 仕事では責任ある立場を任されていましたが、家庭の問題や親の介護などが重なり、「このままの生き方で本当にいいのだろうか」と自分自身に問い続ける日々が続きました。

 順調に見えたキャリアの裏で、人生の方向を見失いかけていたのです。

 しかし、その経験を通して気づいたことがあります。

 それは、人生後半のキャリアは「何を足すか?」ではなく、「既にあるものに気づくこと」から始まるということです。

 多くの人はキャリアを考えるとき、「何を学ぶか」「何を身につけるか」といった、追加することばかり考えます。

 しかし人生後半で、それ以上に重要なのは既にあるものに目を向けること、これまでの経験を俯瞰して見つめ直すことです。

 仕事の経験、人との関わり、価値観、人生で乗り越えてきた出来事。

 そこには、その人にしかない経験がすでに蓄積されています。

 実際に私自身も、自分と向き合い、自分にあるものに気づいたおかげで、会社員人生を卒業し新たな人生のステージに進むことができ、そのプロセスを教えることで社会に貢献できています。

50代のうちにやっておくべき
「3つの準備」とは?

 では、定年前にどんな準備をしておくべきなのでしょうか。

 私が多くのビジネスパーソンと関わるなかで提唱しているは、次の3つです。

(1) 自分の価値観を言語化すること

 何をしているときに喜びを感じるのか。どんな仕事に意味を感じるのか。

 自分の価値観が言語化されると、その価値観を満たす生き方・働き方とはどんなことだろう?と考えられるようになり、「こうやって生きていきたい」と魅力的な未来を描けるようになります。

 本当に手に入れたい人生の方向性が見えてくるのです。

 逆に価値観が見えないと、生きがい・働きがいを見いだすことを環境要因に頼らざるを得なくなります。