ドイツのボリス・ピストリウス国防相Photo:Britta Pedersen/gettyimages

 ドナルド・トランプ米大統領は、ホルムズ海峡を再開させて世界経済への圧力を和らげる取り組みに協力するよう同盟国に圧力をかけている。だがこれまでのところ、ほとんどの国は応じる気配を見せていない。

 トランプ氏が求めた艦船の派遣支援について、ドイツは参加を拒否した。日本とオーストラリアも慎重な姿勢を示している。英国とフランスは対応を検討中としているが、戦闘が停止するまでいかなる関与も確約しない方針だ。いずれも米国の緊密な同盟国だ。

 ドイツのボリス・ピストリウス国防相は16日、トランプ氏の協力要請を退けた。「ホルムズ海峡において強力な米海軍が単独で達成できない状況で、わずか数隻の欧州のフリゲート艦で何を成し遂げられるというのか」と述べ、トランプ氏の期待をけん制した。

 ピストリウス氏は「これはわれわれの戦争ではない。われわれが始めたのではない」と語った。

 トランプ氏は週末、厳しいメッセージを同盟国に突きつけた。同氏は大統領専用機(エアフォース・ワン)内で記者団に対し、ホルムズ海峡再開への協力を拒む国があれば、「われわれは覚えておく」と語った。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)とのインタビューでも、北大西洋条約機構(NATO)加盟国が支援に応じなければ、「(NATOの)将来は非常に悪いことになるだろう」と発言した。

 ホワイトハウスのキャロライン・レビット報道官は16日、トランプ氏が「欧州同盟国と引き続き協議しており、支援を求めている」と述べた。

 イラン政府が自国の承認なくホルムズ海峡の通過を試みるいかなる船舶も攻撃すると脅したことで、戦争開始以来、原油価格は急騰している。開戦前は世界の石油供給量の約20%が同海峡を通過していたが、現在はほぼ閉鎖状態にある。

 欧州側が関与を渋る背景には、伝統的な同盟国を軽視し、経済・軍事力を動員して自らの望む結果を強引に引き出そうとする米政権との緊張関係がある。

「トランプ氏は米国の経済力を使って相互依存関係を武器化し、パートナー国や同盟国を自らの意のままに従わせようとしてきた」。キングス・カレッジ・ロンドンの安全保障研究学部のアンドレアス・クリーク准教授はこう指摘する。「この手段があまりに乱用されたため、世界各国は可能な限り米政府と距離を置こうとしている」

 もっとも、伝統的な親米国のいずれも、ホワイトハウスの圧力を完全に無視できる状況にはない。欧州諸国はトランプ氏をウクライナ問題に関与させ続けようと腐心するとともに、米国が対ロ関係の再調整に動くのを阻止しようとしている。欧州側は、米ロ接近の動きがウクライナの主権を損ない、ロシアに対する経済的圧力を弱める一助となると懸念している。