オーダーメードの開業プロデュースにより全国に年商1億円ベーカリーを続々創出東京・杉並の直営店「コムギノホシ」下井草店。手に取りやすい価格帯を実現している。カスタードクリームやソース、カレーなどは極力内製化し、原価を抑えつつ品質を担保

 フランチャイズ店と異なり、地域性やオーナーの志向によっても店舗や商品、助言の在り方も異なる。「まずはお客さまに夢を語っていただくことからスタートし、一つ一つのご依頼にオーダーメードでお応えするのが当社のポリシーです」と理絵氏。厨房機器の選定においても幅広いメーカーとのネットワークにより中立的な立場で最適な機器を提案。商品についても過去のデータを基に各地域に適合する商品やヒット性のある商品、価格プランなど多様なアドバイスを提供できるのも同社ならではだ。

 第2に挙げられるのが、手厚い人的サポートだ。同社では開店前に製造や販売の指導員を入店させ、研修を実施するほか、熟練技術者を一定期間、“応援員”として派遣する人材派遣事業も行っている。「応援員の経験を生かし、独立開業された方々も多くいらっしゃいます」と理絵氏。支援を受ける店舗サイド、応援員共にウィンウィンの関係を構築している。

直営店の運営を通じ
生きたノウハウを共有

オーダーメードの開業プロデュースにより全国に年商1億円ベーカリーを続々創出パン業界の課題でもあるパンの廃棄ロス対策として生まれたパンを原料とする「ブレッドエール」。東京•調布の直営店(仙川店)にはブルワリーも併設

 三つ目として直営店「コムギノホシ」を5店舗運営し、実地での数値データの共有や知見を提示している点が挙げられる。「年1回、直営店に関するレポートを発行し、成功・失敗事例も共有し、経営に生かしていただいています」と理絵氏。開店後の相談は基本的に無料で、「かかりつけ医」のような立場で継続的なサポートを行っているのもポイントだ。

 近年ではコロナ禍の影響もあり、同社の支援を受け、大手喫茶チェーンがベーカリー市場に参入するなど、事業の安定性にも注目が集まる一方、原材料高騰、人手不足など課題も少なくない。理絵氏はぶれることのない思いとして、「おいしいパンを提供するのはもちろん、お客さまと、社員・スタッフ双方が笑顔になれる『ワクワクする店創り』を何より大事な指針として進めていきたいです」と語る。

 そのためにもパン業界に閉じることなく、新しい分野にもチャレンジしていきたいとし、各地の信用金庫や自治体と連携した地元食材を使った商品開発といった農業の6次産業化などさまざまな構想を描く。ベーカリー開業支援を起点とした事業の広がりにも期待したい。

(「しんきん経営情報」2026年4月号掲載)

事業内容:ベーカリー開業支援、人材派遣、直営店事業
従業員数:216人(パート・アルバイト含む)
売上高:6億9300万円(2025年9月期)
所在地:東京都杉並区下高井戸2‐14‐9
電話:03‐3325‐5171
URL:daiyu.net