「お母さまは長年、店を営まれていたようですね。生前のお金の使い道や、趣味などについて教えていただけますか?」

「被相続人と相続人全員の通帳を拝見できますか?」

 由美さんは「なぜ私たちの通帳まで?」と内心動揺しながらも、自身の通帳を提出。そして調査官が通帳を確認した瞬間、空気が変わりました。

相続人全員の通帳を確認されて
追徴額は約800万円に

 遺品整理後の同じ時期に、由美さんと大二さんそれぞれの口座に2500万円ずつが入金されていたのです。

「これはいつ、どのような理由で入金されたものでしょうか?」

 由美さんは観念して、遺品整理の際に現金を発見したこと、申告せずに山分けしたことを打ち明けました。由美さんと大二さんは、財産隠しを意図的に行ったと判断されたきょうだいに対し、通常の過少申告加算税(追徴本税の10~15%)ではなく、より重いペナルティーである重加算税(追徴本税の35%)を課しました。

 申告期限からの日数分、延滞税も積み上がっていたため、最終的にきょうだいが納めることになった追徴額は、本税・重加算税・延滞税を合わせて約800万円に。

 由美さんは「申告していれば、本来の税額はそれほど大きくなかったはずです。それなのに、なぜあの時正直に申告しなかったのか。ペナルティーを受けることもなかったのにと、今でも後悔しています」と振り返ります。

なぜ「こっそり隠した現金」を
税務署は突き止めるのか

 今回のようなケースは「タンス預金」と呼ばれており、自宅に隠されていた現金を意味します。タンス以外にも本棚や物置、衣類の中に隠されていることも少なくありません。

 タンス預金自体に違法性はありませんが、相続時には相続財産として正しく把握する必要があり、場合によっては相続税申告も必要です。

 そこで、相続時におけるタンス預金の税務調査や、タンス預金そのものの危険性について、いちよう相続・税務サポートの田澤税理士に聞きました。

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――タンス預金はこっそりと隠されているものですが、なぜ相続後に税務署は存在を突き止められるのでしょうか。