富裕層必見!資産防衛&節税術Photo:PIXTA

富裕層の悩みの種である相続税・贈与税制が、税制改正によって歴史的な転換期を迎えている。これまでの節税対策が封じられる中、打つ手はあるのか。連載『富裕層必見!資産防衛&節税術』の第15回では、富裕層が今すぐ始めるべき節税対策を指南する。(税理士法人チェスター東京本店代表 河合 厚)

超富裕層をターゲットにした
「ミニマム課税強化」が迫る

 わが国の相続税・贈与税制は、2023(令和5)年度の税制改正、そして直近の26(令和8)年度の税制改正大綱の公表を経て、歴史的な転換期を迎えている。

 24年1月1日からの「暦年贈与」(対象者・贈与額にとらわれない一般的な贈与の方法〈基礎控除額110万円〉)は、生前贈与加算期間が従来の3年から7年へと順次延長される「7年持ち戻し」が適用され、高齢者による暦年贈与のメリットが減殺されるリスクが高まった。

 一方で、「相続時精算課税制度」(原則60歳以上の父母や祖父母などから、18歳以上の子や孫などに財産を贈与した場合、相続財産の加算対象となり、基礎控除額を超える贈与について累積2500万円まで贈与税が非課税になる制度)には年110万円の基礎控除が新設され、相続時精算課税制度での贈与で110万円以下の額は、暦年贈与と異なり、相続財産への加算が一切不要となった。

 さらに、26年度税制改正では、次世代への早期資産移転を促す「こどもNISA」の創設(27年1月以降適用予定)や、短期的な節税封じとしての「貸付用不動産の評価方法見直し(5年間ルール)」(27年以降の相続・贈与から適用予定)、そして超富裕層が対象になる「ミニマム課税強化」(27年分より適用予定)が予定されている。

 これらの改正は、「直前の小手先の対策は認めない。やるなら時間をかけて、計画的に行え」という国からのメッセージとも読み取れる。

 そこで次ページでは、これらの改正が実務に与えるインパクトを検証し、富裕層が取るべき、「これから」の生前贈与の活用などによる相続対策を指南する。