野口聡一・宇宙飛行士ご本人より提供

新たなスタートを切った新入社員のなかには「失敗」を恐れている人も多いはず。しかし、現代社会で活躍する先輩たちは多くの挑戦と失敗が成長につながったという。失敗することの大切さとは?※本稿は、経団連出版(編)『新入社員に贈る言葉――豊かな職場生活のための言葉の花束』(経団連出版)のなかから宇宙飛行士の野口聡一(著)の寄稿文を抜粋・編集したものです。

様々な不測の事態に対処する準備が大切
野口聡一/宇宙飛行士

 新入社員の皆さん、社会人としての新たなスタートを切ったことに、まず心からお祝い申し上げます。私は宇宙飛行士として、これまで3度の宇宙飛行と4度の船外活動(宇宙遊泳)を経験し、国際宇宙ステーションで約1年近くを過ごしました。宇宙という極限環境で学んだことを、皆さんにお伝えしたいと思います。

 まず「そなえよつねに」、つまり準備の大切さについてです。宇宙飛行士の訓練は、専門的な知識の取得だけでなく、様々な不具合を想定したシミュレーション、その危機的状況を乗り切るためのチームビルディング、リーダーシップの理解が必要です。宇宙に実際に行くその日まで、あらゆる事態に備えることの重要さを叩き込まれるのです。

 皆さんも当面は新入社員として先輩・上司がフォローしてくれると思いますが、やがて独り立ちして社会や業務での様々な不測の事態に対処することが求められます。日頃からの不断の努力と準備、知識や経験だけでなく、メンタル的にも「準備ができている」と思えることこそが、いざという時に皆さんの助けになります。

周囲と協力することが
大きな成果につながる

 次に「チームワークの大切さ」です。宇宙ステーションでは、国籍も文化も異なる宇宙飛行士たちが協力して任務を遂行します。言葉の壁や文化の違いを乗り越え、お互いを信頼し、支え合うことで、地上では不可能な科学実験や観測を成功させることができました。職場でも同じです。1人でできることには限界があります。同僚と協力し、お互いの強みを活かし合うことで、想像を超える成果を生み出すことができるのです。