成績が伸びる! ノートの「型」とは?
山口: では、ノートが書けない子はどうすればいいのでしょうか?
安浪: 親御さんが、ノートの取り方を丁寧に教えてあげることが大切です。今って、学校ではノートの書き方、取り方を教えないみたいなんですよ。
山口: え、そうなんですか?
安浪: 私たちの時代は左上に日付を書いて、といった指導を受けましたが、教え子たちに聞いても、みんな教えてもらったことがないと。
山口: 知りませんでした。
安浪: ベテランの先生だったら指導しているかもしれませんが、基本的にはないみたいですね。もちろん、塾の先生も教えません。そもそも、教育現場でノートを取る機会がぐっと減りました。だから、親が思っている以上に、細かいところまで丁寧にノートの書き方の「型」を教えてあげる必要があります。
山口: 先生のご著書『中学受験 必勝ノート術』を拝読しましたが、本当に細かくノートの書き方が書かれていて、すごい丁寧で親切だなと思いました。
安浪: はたから見ると「こんな細かいところまで?」と思われるかもしれませんけど。本当にそこまでやってあげないと、今の子たちは書けないんですよ。他人に分かりやすく書くための「型」を身につけることが必要なんです。
山口: 家庭で指導する場合、どのような「型」を教えてあげるといいですか?
安浪: 読みやすく書くというのが大前提です。たとえば算数の場合は、分数の括線(分子と分母の間の線)や、加減乗除などの記号(+、-、×、÷、=)が横一列になるように書くことが大切です。これができていないと、式が見えにくいばかりではなく、整数や分子、分母の区別がつかないので、計算ミスをしやすくなります。ほかにも、「式と計算のスペースを分ける」「思考過程や間違いを消しゴムで消さない」など、『中学受験必勝ノート術』にも書いていますが、型をおさえるだけで成績が伸びる子はたくさんいます。
山口: ノートの書き方で成績も変わってくるんですね。その際は、タブレットではなく紙と鉛筆を使うほうがいいんですか?
安浪: はい。紙と鉛筆で基礎的な書く訓練をすることが不可欠です。タブレット学習は画面に摩擦がないため、どうしても書き方が甘くなります。消しゴムツールを使うと、消すつもりがないところまで消えてしまうこともありますよね。また、指導者の立場からすると、その子の1週間の履歴を把握しにくい点も問題だと感じています。
山口: 1週間の履歴、ですか?
安浪: ノートをペラペラっとめくれば、「この日はこの問題を解いて、ここを間違えたんだな」ということがわかりますし、「次の日は解き直しをして、今度は正解できたんだな」ということもわかります。思考のプロセスが見える化しているので、その子の頭の中の状態が一目瞭然なんです。
山口: なるほど。たしかに、ノートにアウトプットしているからこそ、わかることってありますよね。ちなみに、安浪先生は中学受験生を指導されていると思いますが、もう少し低学年のお子さんをお持ちの保護者の方が、今のうちからできることはありますか?
安浪: そうですね。まずは、まっすぐ線を引く、思ったところで鉛筆を止めるといった基礎的な鉛筆の動かし方を練習していただきたいです。例えば6年生になっても正方形や円がまともに描けない子が本当に多いのですが、そういう子は「まっすぐ線を引く」という基本ができていません。幼少期からアナログで書く訓練をすることが、のちのち図形を正確に書く力にも繋がります。
親はとにかく子どもを「褒める」ことが大事
山口: ご著書「中学受験必勝ノート術」の中に「親はとにかく褒めることが大事」というアドバイスがありましたよね。それは非常に共感します。拙著「こども言語化大全」は、ゲームを通して子どもの言語化力を磨く本ですが、その本の中でも、お子さんをとにかく褒めてあげてくださいと伝えています。
安浪: 本当にそうですね。特に中学受験が絡むと、親は「なんでここ間違えたの?」「もっとこうしなさい」と、できていない部分にばかり目が行きがちです。でも、ノートに関しても、間違えた部分から指摘するのではなく、まずは「できたところから褒める」ことが鉄則です。
山口: 完璧を求めないことが大事ですね。させるだけさせて文句ばかり言っていると、子どものモチベーションは下がってしまいます。
安浪: その通りです。そのためにも、親自身にちょっとゆとりがある時に見てあげるのがいいですよね。そうじゃないと褒められませんから。
山口: 子どもがアウトプットしたものを温かく肯定して、子どもの力を伸ばしていってあげたいですね。
(次回に続く)
*本記事は、「中学受験必勝ノート術」著者・安浪京子氏と「こども言語化大全」著者・山口拓朗氏の対談から構成したものです。





