読むスピードをつけたいなら「まずは音読から」

山口:広く読むこと、読解技術を身につけることの大切さは分かりましたが、そもそも「文章を読むこと自体が苦手」という子はどうすればいいのでしょうか。

安浪:今は本当に、文章を読み通せない子が多いです。体力が持たなくて疲れちゃう。

山口:読む体力がない。

安浪:はい。だからそういう子には「音読して」と伝えています。

山口:音読効果って、やっぱりあるんですか?

安浪:音読は大事です。だから読むスピードをつけたいんだったら、まず音読からって言いますね。

山口:黙読だとみんな流しますもんね。読んでいる気分だけというか。

安浪:そうそう。読んだ気になってることが多いんで。

山口:後から色々質問してちゃんと答えられるのは、音読した側の方が多分答えられますよね?

安浪:そうですね。ただ、音読がスラスラできないと、読むことだけに必死になってしまって内容が頭に入ってこない子もいるのでそこは状況によります。

山口:なるほど。読むのに必死になって内容がついてこない。

安浪:そうです。で、そういう子は、単語や文節を「まとまり」で捉えられないんですよね。要するに読解力がないっていうことなんですけど。だから、まずは音読を通じて「まとまりでちゃんと読めるかどうか」を親子で確認してくださいと、保護者の方にはお伝えしています。

子どもの語彙力を「ゲーム」で高める

山口:音読ができるようになって読む体力がついてきても、そもそも語彙力がないと文章の意味は深く理解できませんよね。語彙力はどうやって身につけるといいとお考えですか?

安浪:それは意外と難しいところなんですよね。もちろん、塾でも語彙のプリントを配ってインプットはさせるんですが、それだとインプットだけで終わっちゃうんですよね。

山口:暗記するだけということですか?

安浪:そうです。テキストの例文をそのまま丸暗記するだけ。やっぱりアウトプットしないと、生きた言葉として使えないので。だから、山口先生のご著書『こども言語化大全』は本当に素晴らしいと思いました。ゲーム感覚で遊びながら語彙に触れて、ちゃんとアウトプットまでしますもんね。

山口:ありがとうございます。最初は言葉がうまく出てこない子もいると思うんですけど、遊びながらね。あと、周りがいろんな言葉を言い出し始めると「あ、そういう言葉もあるんだな」って学べたりもするので。

安浪:ええ。語彙力って、本当にそれに尽きると思うんです。私たちも「インプットしたらその言葉を使って家庭で会話してください」っていつも言ってるんですけど、それだとやっぱりちょっとお勉強感があるので。でもこうやってゲームにするとハードルが下がりますよね。子どもは「ママがお勉強させようとしてる」っていうのは、すぐに見透かしますから。

山口:そうですね。ゲームをして楽しく遊びながら言語化力を高めていってもらえたらいいなと思っています。

安浪:本当にそう思います。だから、まだ本を読む体力がない子や、国語に苦手意識がある子は、まずはこうやって親子で遊びながら色々な語彙に触れるところから始めてみてほしいですね。それが結果的に、文章を読み解き、国語力を伸ばすための確実な土台になっていくはずですから。

山口:意識的に様々な文章に触れつつ、家庭では遊びを通して生きた言葉を獲得していく。その両輪を回すことが、国語力向上への確実な道だということですね。まずは親子で楽しく言葉で遊ぶところから始めてみてほしいですね。

<次に続く>

*本記事は、「中学受験必勝ノート術」著者・安浪京子氏と「こども言語化大全」著者・山口拓朗氏の対談から構成したものです。