このため中国は、地上発射型ミサイル等による非対称的な軍事態勢(編集部注/圧倒的戦力差がある相手と同じ土俵で戦わない戦略)だけでなく、米国と対を成すような戦力投射能力の構築を急いでいる。それらの能力を用いて、中国は台湾周辺の海域、東シナ海、南シナ海で修正主義的な意図が明らかな軍事活動を強化している。
北朝鮮とロシアへの警戒で
日本の兵力は分散せざるを得ない
加えて、北朝鮮やロシアの及ぼす脅威も考慮に入れなければならない。
北朝鮮は中国と比べると全方位的な軍事力を強化する能力に欠けるが、それゆえに、韓国や在韓米軍に対する通常戦力の劣勢を相殺するため、核・長射程ミサイルの増強を進めている。朝鮮半島有事が生起した場合、在日米軍基地や自衛隊の主要部隊に対する攻撃を通じ、戦域が日本に及ぶ可能性も排除されない。
2022年のウクライナ侵攻により修正主義国化したロシアの動向にも注意を払う必要がある。
極東所在の主要部隊をもウクライナに転戦させているロシアは、通常兵力の減耗による戦略環境の悪化を危惧し、日本周辺であえて示威的な軍事活動に出ている可能性がある。中露の共同した海上・航空軍事活動がその典型例であり、2024年11月には、ロシアの爆撃機が中国機と共同して沖縄周辺を飛行するという過去に類を見ない行動に及んだ。
ロシアのこのような軍事行動は、日本の領土への攻撃の可能性を直ちに示すものではない。しかしその活動は、警戒監視など相応の態勢をもって対処する必要性を生じさせることで、対中抑止のため兵力を南にシフトさせつつある自衛隊に、戦力の分散とコスト賦課を強いる含意を有している。
中国空母の攻撃を抑止するため
長射程ミサイルや無人アセットが必要
日本は、既に2022年の戦略三文書(編集部注/中・朝・露の及ぼす日本への脅威、特に中国の軍事力の飛躍的拡大を背景として防衛力の抜本的強化を掲げた)に基づき防衛力強化に努めている。
しかし、前記の問題意識に立脚すれば、戦略三文書により増額したものよりも、さらに高い水準での防衛支出が必要とならざるを得ない。とはいえ、前述した中国の驚異的な軍事力の拡大を踏まえると、日本単独で兵力を中国と量的に均衡させることは難しい。







