このため、引き続き日米同盟の抑止力を活かしつつも、同時に、かつて中国が米国に対してとったような非対称・拒否戦略を、日本が中国に対して採用することで、量的に及ばない相手の侵攻兵力を効果的に減殺していくしかない。
中国が空母などの戦力投射能力に傾注する場合、敵のミサイル等からの攻撃に晒される脆弱性を自ら生じさせることとなるというジレンマがある。
長射程ミサイル、無人アセット等を用い、「より早期かつ遠方で侵攻を阻止・排除する」という戦略三文書が掲げた目標は、このような前方拒否態勢を含意している。しかし、そのような態勢の整備でさえ、大幅な予算増が必要となる。
「GDP比2%」の目標に
ひそんでいるトリック
このため、政府は戦略三文書に基づき5年間で防衛費を段階的に増額し、2027年度までにGDP比2%(年額8.9兆円、関連経費含め年額11兆円)の水準を達成することとした。
これは一定の分かりやすい目標だが、しかし、そこには数字のトリックがある。
『政府破綻』(一般財団法人ネクストジャパン・イニシアティブ、新潮社)
一方では、物価や為替変動による装備品価格高騰が指摘され、これによる2024年度以降の装備品購買力の低下が懸念されている。他方では、名目GDPは成長しており、防衛費GDP比2%の基準としてきた分母が上振れている。
2%目標は、2027年度において達成される目標であるにもかかわらず、分母のGDPは2022年末に判明していた値をベースとしており、2025年度見通しとの関係では、2027年度防衛費はGDPの1.7%(防衛省単体では1.4%)となるにとどまる。
名目経済成長の上振れ傾向を踏まえれば、このような現象は当然生起するものであり、これに対応するためには、本来は分子(防衛費)を増やさなければならない。加えて、2027年度までに要する防衛費の多くが長射程ミサイルなど各種の装備品の開発に充てられることを踏まえれば、2028年度以降それにより開発が完了した装備品の量産取得が控えることとなり、防衛費の押し上げ要因となる。
これは、2028年度以降の防衛費を、それ以前の5年間の水準よりさらに増額する必要性が見えてきていることを意味する。







