遺憾表明にとどまる高市政権の姿勢に「到底不十分」だと中国側が強く反発している Photo:JIJI
自衛官が刃物で押し入った「中国大使館侵入事件」。明らかな日本の大失態にもかかわらず、高市政権は「遺憾」を繰り返すのみで中国への謝罪を拒み続けています。「弱みを見せるべきではない」という強硬姿勢は一見国益を守っているように見えますが、実は日本の存亡に関わる致命的な危機を招きかねません。かつて国を破滅へ導いた“軍部の暴走”とも重なる事態を前に、改めて思い起こしたい「昭和天皇の金言」とは?(ノンフィクションライター 窪田順生)
「中国に謝ったら負け」が
日本の国益を損なう
突然だが、こんな架空のケースを思い浮かべてみていただきたい。
中国・北京にある日本大使館に、人民解放軍の少尉が刃渡り18センチの凶器をもって不法侵入した。15分ほど敷地内の植え込みなどに身を潜めた後、少尉は姿をあらわして大使館関係者に声をかけたところで拘束。こんなことを言ったとする
「金杉憲治大使に面会して、日本政府の中国に対する強硬な発言を自制するようにするためだ。聞き入れられなければここで自殺するつもりだった」
大使館の受け入れ国にとって「安全確保」はウィーン条約に基づく義務。そこに加えて、不可侵権が認められている大使館敷地内に武器を持った軍人が侵入するというのは国家の大失態だ。中国側に100%非があることは明白である。しかし、かの国は耳を疑うような対応に出る。政府高官や中国共産党幹部は頭を下げるそぶりさえなく、「誠に遺憾」と口にするばかりなのだ。
さて、このように「どう考えてもあちらに非があるのは明らかなのに謝罪しない隣国」を見て、みなさんはどのようにお感じになるだろうか。
「やはり中国とはわかり合えない、国交断絶でいいんじゃない?」とか「人民解放軍の暴走も始まっていて、こりゃ本格的に台湾有事もありそうだし、沖縄にも侵略してくるんじゃないか」という怒りや不信感が高まり、中には中国への憎悪で頭がいっぱいになってしまう、という人もいらっしゃるのではないか。
そんな“負の感情”というのは、今まさしく中国の人々が日本と日本人に向けているものなのだ。
ご存じのように3月24日、陸上自衛隊3等陸尉の男性が中国大使館に刃物を持って不法侵入するという「事件」があった。
先ほども述べたように、大使館の不可侵権を踏みにじる行為なので「面会が目的で傷つける気はなかった」とかいう言い訳が通用するレベルの話ではなく、しかもそれをやったのが自衛官という「国家公務員」である。
残念ながら100%日本側に非があるが、本日4月2日時点で高市政権は「遺憾」を繰り返すのみだ。
当然、中国側は「台湾有事発言に続いて喧嘩売ってんのか」と猛反発している。国防省の蔣斌報道官は記者会見で「日本国内ではびこっている極右思想が自衛隊にまで深く浸透し影響を及ぼしている」とコメントするなど「日本の脅威」を煽って、東アジアの緊張を高めている。
では、この問題をどう解決すべきか。個人的にはやはり、高市首相は中国に対して謝罪すべきだと思う。
「反日」「弱腰」「非国民は日本から出ていけ」などさまざまなご批判がくるのは承知している。中国のような国は一度こちらが弱みを見せたらとことんつけ上がってくるのだ、という保守の皆さんの意見もよくわかる。
頭を下げないことで短期的には、高市人気もキープされて国内の政局も安定するというメリットはあるかもしれない。しかし、中長期的に見た時には、間違いなく遺恨を残し、結果的に日本の国益を大きく損なう可能性が高いのだ。







