学びもこれと同じです。短期間で大きな成果を上げること以上に大切なのは、途中でやめないこと、諦めないこと、そしてしぶとく続けることです。

図表・無限ゲームとしての学び同書より転載 拡大画像表示

 長く学び続ける道のりでは、モチベーションが下がったり、学べる環境が整わなかったりと、必ずさまざまな障害が現れます。だからこそ、学びを止めないための「しくみ」を自分の中につくっておく必要があります。

他者に「教える」こと自体が
長期的な学びのしくみとなる

 それでは、学びという無限ゲームで負けないためには、どうすればよいのでしょうか。

 勝ち負けがはっきりしている「有限ゲーム」では、勝つための戦略は比較的わかりやすいかもしれません。しかし、無限ゲームにおいては、どうやって「負けないしくみ」をつくり、学び続けていくかが最大の課題になります。

 そこで重要な役割を果たすのが、「教える」という行為です。

 ここでは、私がケンブリッジで学生指導をする際に大切にしている考え方をいくつか紹介します。

 これらは、私自身が教える立場になる際に考え、また私が指導する学生が教える立場になったときに紹介する考え方です。

 ケンブリッジ大学の上級生や大学院生などには、多くの後輩へのアドバイスや、個別指導の機会があります。

 彼らに対しては、以下のようなことを考えるように促します。

・「教えること」で、学びの意味を考え直す
 自分が学んでいることは、人生にどのような影響を与え、なぜ学ぶ必要があるのか。その問いを深く考えずに教えることはできません。「教える」という行為は、学ぶ意味を自分自身に問い直すきっかけになります。

・「教える」ことが長期的な学びを支える
 教えるとは、自分が理解したことを他者に伝える行為です。つまり、教えること自体が、理解を繰り返し、整理し、表現するプロセスになります。これが自然と学びを長期にわたって支え続けてくれます。

・本気、大切でないと教えられない
 教えることには、時間も労力も必要です。自分が本気で大切に思っていることだからこそ、時間をかけてでも人に伝えたいと思えます。教えることで、改めて自分にとっての「本気さ」や「大切さ」に気づくことができます。

・「教える」ことには時間をかける価値がある
 ひとつのことを教えるには、自分が理解しているだけでは足りません。相手が理解できるように、より深く噛み砕き、さまざまな伝え方を考える必要があります。その過程で、自分自身の理解はさらに深まっていきます。

・勝ち負けではなく、楽しさを伝える
 教えることは、試験に合格するための手段ではありません。大切なのは、自分がその学びをどのように楽しんでいるかを伝えることです。楽しさが相手に伝われば、学びは自然と広がり、学び続ける意欲も生まれます。