写真はイメージです Photo:PIXTA
言語学者で明治大学教授、堀田秀吾氏の著書『ハーバード、スタンフォード、科学的に証明された時間をムダにしない人の習慣』(アスコム)から、重要なポイントを抜粋・再編集して特別公開します。今回は、ビジネスパーソンが「先延ばし癖」を解消する方法について、学術的な知見を交えながら解説します。
「ナッジ」を使って
誘惑のコストを上げる
重要な仕事の先延ばしを減らすうえでは、「ナッジ(Nudge)」を使うのが有効です。
「ナッジ」とは「肘でそっとつつく」「軽く後押しする」という意味の英語ですが、行動経済学者のリチャード・セイラーとキャス・サンスティーンは、人々が「望ましい選択」を、強制ではなく自然に選べるように導く仕組みのことを「ナッジ」と呼んでいます。
人は合理的に動く存在ではなく、面倒を避ける生き物であるということが、行動経済学により明らかになっています。
特に、私たちは新しいことや手間のかかることを避けようとする「現状維持バイアス」を持っています。合理的に考えれば、すぐにやったほうがいいことでも、面倒だと感じると「後でやろう」「今日はいいか」と先延ばししてしまうのも、この「面倒を避けたい」性質のせいなのです。
一方で、この「面倒を避けたい」という人間の性質を逆手に取れば、先延ばしを自然と減らすことが可能となります。
誘惑のコストを上げ、「やるべきことを先延ばしにするなど、望ましくない行動をとると、その分、面倒なことが増える」環境を作ると、人は面倒を避けるため、自然と正しい行動を選ぶようになるのです。
たとえば、簡単な例としては、
•スマホを別室に置いておく→取りに行くのが面倒なので、スマホを見る回数が減る
•SNSをログアウトしておく→アクセスするたびにパスワードなどを再入力するのが面倒なので、SNSをチェックする回数が減る
•テレビのリモコンを引き出しにしまい、鍵を家族に預ける→リモコンを出すのが面倒なので、テレビを見る時間が減る
•お菓子やお酒を棚の奥に片づける→取り出すのが面倒なので、お菓子を食べたりお酒を飲んだりする回数が減る
などが考えられます。
こうした仕組みが、ナッジです。
ちなみに、Google社の社員食堂では、社員の健康のためにナッジを利用。サラダを取りやすい位置に置き、スナック菓子を少し遠い場所に置いたところ、社員のカロリー摂取量が自然に下がったそうです。
人は面倒を避け、「近くにあるものを選ぶ」ようにできている。だからこそ、誘惑を遠ざけ、望ましい選択を手前に置くだけで、自然と行動が変わるのです。







