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ドナルド・トランプ米大統領とイランが合意した停戦により、戦闘はやむかもしれないが、中東地域の主要なエネルギー拠点での被害は、長期にわたる経済的損害をもたらす見通しだ。
イランのミサイルとドローン(無人機)は、同地域の数十カ所の製油所、油田、天然ガス輸出ターミナルを攻撃した。これにより、ホルムズ海峡が再開されたとしても、世界の石油・ガス市場の需給逼迫(ひっぱく)は長期化することが確実となっている。
これらの損傷を受けたエネルギー施設の修復作業は極めて複雑であるため、世界のエネルギー供給が長期にわたり絞られ、原油高を招くことになる。製油所が稼働していない状況では、たとえ生産者が原油を生産したとしても、市場ではディーゼル燃料、ガソリン、ジェット燃料といった石油製品の不足が続くだろう。一方、輸出施設が損傷しているため、炭化水素をタンカーに安全に積み込むこともできない。
その結果、原油価格の高騰は、通常、世界の原油供給量の5分の1が通過するホルムズ海峡のボトルネックだけを反映したものではない。現在、原油価格を支えているのは、供給能力の低下という厳しい現実だ。
産業災害を調査するコンサルティング会社エクスポネントのエンジニア、ハリ・キュトマー氏は被害の規模について「こんなことは今まで見たことがない」と語った。
国際的な原油価格の指標であるブレント原油は、停戦合意の発表を受け、8日に約13%安の1バレル=95ドルとなった。それでも1月初旬の約60ドル台をなお大きく上回る。コンサルティング会社ユーラシア・グループは、たとえ軍事衝突が終結したとしても、今年の原油価格は同80ドルを上回る水準で推移すると予想している。
ユーラシア・グループのエネルギー担当マネジングディレクター、ヘニング・グロイスタイン氏は「中東での停戦によってホルムズ海峡が速やかに再開されたとしても、供給逼迫は続くだろう」と述べた。







