共働きが当たり前になり、家事や育児を分担するカップルが増えた。なのに、なぜか夫婦の会話がかみ合わない、恋愛感情が以前より薄れた気がする――そんな違和感を抱いている人は多いはずだ。その違和感の正体を、男女関係のベストセラー『ベスト・パートナーになるために』の著者ジョン・グレイ博士が25年ぶりに書き下ろした続編『一人になりたい男、話を聞いてほしい女』が鮮やかに解き明かしている。本連載では、本書の内容から、男女の違いをお伝えしていく。(構成:ダイヤモンド社書籍編集局)

夫婦喧嘩をしている人たちPhoto: Adobe Stock

相手を責めても何も変わらない

 夫婦関係やカップル関係で悩んでいる人の多くは、こんなふうに考えていないだろうか。「もっと話を聞いてくれたらいいのに」「もっと一人の時間をくれたらいいのに」。

 相手に不満を持ち、「あなたが変わってくれれば私は幸せになれる」と思い込む。しかし、その考え方こそが、関係を悪化させる大きな原因なのだ。

 本書には、こう書かれている。

うまくいっていないカップルは、相手への不満をたくさん抱えているものだ。だが、相手を責めるという発想から離れ、問題の原因は自分にもあると考えない限り、いつまでたっても良い関係は築けない。(『一人になりたい男、話を聞いてほしい女』より)

 相手を責める発想に立っている限り、互いを罵る言葉がテニスボールのように行き交う。

 そうして関係はどんどん悪くなっていく。著者は、必要なのは非難ではなく、愛情に満ちた関係を取り戻す方法を学ぶことだと述べる。

満ち足りた関係をつくる3ステップ

 では、どうすれば愛情に溢れる関係を築けるのだろうか。

 著者は、本書のなかで「成功の方程式」となる3つのステップを示している。

 1つ目は、パートナーではなく、自分の行動や気持ちを変えること

 2つ目は、パートナーに愛情を注ぐこと。そうすれば相手もそれに応えてくれるようになる。

 3つ目は、お互いが満足度を高め、それまでより多くの愛情を与え合うようになること

 ポイントは順番だ。自分が変わる前に相手に期待してしまうと、すべてが裏目に出る。著者はこれを「失敗の方程式」と呼んでいる。

女性は、”自分はこんなに尽くしているのに、相手は何もしてくれない”と考えがちだ。そして、自分がしてほしいことを男性にもしようとする。だが、それは男性が本当に求めているものではないことが多い。(『一人になりたい男、話を聞いてほしい女』より)

 つまり、自分が「してほしいこと」と、相手が「してほしいこと」は、そもそも違うのだ。

 男女の思考や感情には大きな違いがあるため、よかれと思ってしたことほど裏目に出やすい。これが、多くのカップルがすれ違う根本的な理由だろう。

男と女では求めるものが違う

 著者によれば、現代の女性が男性に求めているのは、気持ちの分かち合いや親密なコミュニケーション、対等な尊重といった新しい愛の表現だ。

 一昔前の男性に求められていた「生活の安定を守る」という役割とは、まるで違うものを必要としている。

 一方、男性にも新しい心のニーズがある。それは「パートナーを幸せにしている」と思いたいという願望だ。

 稼いで家族を養えば十分だった時代とは違い、妻や子どもを幸せにする努力を評価され、感謝されたいと願っているのである。

 ここを理解しないまま、女性は「もっと話を聞いて」と詰め寄り、男性は「静かに過ごしたい」とこもる。互いの新しいニーズを知らないまま、すれ違いを繰り返してしまうのだ。

子育て世代にこそ響くメッセージ

 この考え方は、子育て中の夫婦にこそ役立つかもしれない。子どもが生まれると、夫婦の会話は育児と家事の分担に偏りがちになる。

「私ばかり大変なのに」「俺だって頑張っているのに」という不満が溜まっていく家庭は少なくないだろう。

 だが、相手を責めても状況は変わらない。むしろ、自分から小さく愛情を注ぐ行動を始めたほうが、関係は好転していく可能性が高いかもしれない。

 夫婦の関係が安定すれば、子どもにとっての家庭環境も穏やかになる。親の機嫌は、そのまま子どもの情緒に影響するからだ。

 恋愛と人生を充実させる方法は、生まれつきの才能ではなく、学ぶことができる知識であり技術だと著者は言い切る。

 お互いの違いを知り、最適なタイミングで愛情を与え合う。そのスキルを身につけることが、パートナーシップの鍵になるはずだ。