ニューヨーク証券取引所は暗号資産業界の強者という意外な地位を静かに確立しつつあるTIMOTHY MULCARE FOR WSJ
暗号資産(仮想通貨)ビットコインは従来の金融システムを破壊するために作られた。中央集権的で参入障壁があり、週末は閉場しているニューヨーク証券取引所(NYSE)は、まさにそうした破壊対象の究極の建築的象徴だ。それでも、この233年の歴史を持つウォール街の巨人は、暗号資産業界の強者という意外な地位を静かに確立しつつある。
デジタル資産への数十億ドル規模の投資から、ブロックチェーンベースの証券を24時間365日取引できるプラットフォームの開発計画に至るまで、この歴史ある取引所は過去最大の――そして恐らく最もリスクの高い――変革を遂げようとしている。ビットコインの基盤技術である分散型台帳技術(DLT)を使って、数世紀かけて構築してきたシステムそのものを刷新しようとしているのだ。
「われわれは『アナログから電子』への市場進化の最前線に立ってきた。それから四半世紀後の今、『電子からデジタル』への次の移行の波が来ていると思う」。NYSEの親会社 インターコンチネンタル取引所(ICE) の戦略イニシアチブ担当副社長、マイケル・ブラウグランド氏はそう述べた。同氏は、将来的にはブロックチェーンがNYSEの中核業務(取引・清算・決済・資本形成・データ配信など)の主要な舞台となる可能性が高いとみている。
事情に詳しい関係者によると、ICEの創業者で最高経営責任者(CEO)のジェフリー・スプレッチャー氏を中心にそうした展開への確信が強まった結果、ICEは3月、暗号資産交換業者OKXに約2億ドル(約320億円)を投資した。その際のOKXの評価額は250億ドルだった。OKXが連邦当局の捜査対象となり、5億ドル超を支払って和解してから1年後のことだ。
このようにウォール街では、 予測市場 から暗号資産まで、かつてタブー視されていたハイリスクの賭けに踏み込む動きが拡大している。非伝統的な金融資産に配慮したトランプ政権の規制姿勢や、個人投資家の間でそうしたハイリスク・ハイリターン取引への需要が高まっていることが、この熱狂に拍車をかけている。







