マイクロソフト、再浮上の鍵はコパイロットPhoto:picture alliance/gettyimages

 2026年の市場が激動しているとはいえ、わずか6カ月で「人工知能(AI)の勝者」から「AIの敗者」へと変わってしまうのは行き過ぎのように思われる。

 米 マイクロソフト にとって不運なことに、同社のビジネスモデルが複雑であるがゆえに、新しく貼られたレッテルを素早く払拭することもできない。しかし、忍耐強い投資家は報われるはずだ。売上高ベースで世界最大のソフトウエア企業である同社は、AIの世界で今もなお顕著な強みを持っているからだ。

 マイクロソフトの株価は最近、他の巨大テック企業と共にいくらか回復したものの、過去6カ月では約17%下落したままだ。同社の時価総額は昨年10月後半のピークから8000億ドル(約128兆円)余り失われ、予想株価収益率(PER)は24倍を下回っている。ファクトセットのデータによると、これはオープンAIが2022年終盤に「チャットGPT」を公開する直前とほぼ同水準だ。

 チャットGPTの公開により、マイクロソフトはAI競争の初期の勝者と目されるようになった。サム・アルトマン氏率いるスタートアップのオープンAIに、先見の明をもって何十億ドルも投資していたためだ。しかし3年が経過した今、この競争は膨大な投資コストを積み上げながら、ビジネスへの寄与は、少なくとも目に見える形ではいまひとつといったところだ。

 現在マイクロソフトの懸念材料の中で大きく立ちはだかっているのは、AIツール群「コパイロット」だ。コパイロットは2023年終盤に提供が開始され、マイクロソフトの広く普及した生産性ソフトウエアなどにAI機能をもたらした。しかし、バンク・オブ・アメリカ(BofA)のアナリストによると、直近の四半期における法人向けコパイロットの有料ユーザー数は約1500万に増加したものの、これは同社の膨大なユーザーベースの約3.5%に過ぎない。

 2年半が経過した段階としては目覚ましい数字とは言えず、特に競争の状況を踏まえるとなおさらだ。AI開発会社アンソロピックのAIツール「クロード・コワーク」は、ファイル管理やデータ集計といった一般的な企業タスクを自律的に処理するもので、ここ数カ月で急速に普及している。その勢いは、マイクロソフトが最近自社のコパイロットにクロードを追加せざるを得なくなったほどだ。ユーザーがコワークを利用するたびにアンソロピックに手数料を支払えば、マイクロソフトにとってコパイロットの収益性は確実に低下する。