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今年上昇した暗号資産(仮想通貨)価格は、大量に積み上がる負債に支えられていた。トレーダーはレバレッジ(借り入れ)を活用した取引で、利益を増幅させていた。だが過去2週間の相場急落で、こうした賭けの危険性が表面化している。
投資家はかつてないほど多様な手法で、暗号資産に複雑な賭けを行っている。場合によっては1ドルの元手でビットコイン100ドル分のエクスポージャーを得られる。市場が借り手に有利な方向に動けば、この戦略は思いがけないほどの利益をもたらす。一方、逆方向に動けば、トレーダーは大きな損失を被る可能性があり、十分な追加証拠金(追い証)を差し入れなければ、保有分を強制的に決済(ロスカット)される場合もある。
コイングラスのデータによると、今年に入り、暗号資産交換業者による1日当たりの強制決済金額は増加傾向にあったが、10月にそれが急増して過去最高額に達した。ドナルド・トランプ米大統領による 予想外の対中関税発表 が売りを誘発し、交換業者が基準を下回るポジションの強制決済を執行せざるを得なくなったことが背景にある。
「それは結局、手元資金を何倍にも増やす手法で投資できる事実に帰結する。だが同時に、リスクを相応に管理しなければ、罰を受けるということでもある」。暗号資産データ会社ナンセンの調査アナリスト、ニコライ・ソンダーガード氏はこう指摘した。
レバレッジをかけるトレーダーに対する圧力は、暗号資産の最近の急落を説明する主要な筋書きの一つとなっている。ビットコインは10月につけた12万6000ドル超の過去最高値から約29%下落。投資家が高リスク取引から手を引いたことで、足元では8万9440ドルまで下げている。これは4月以降で最も低い水準だ。
「ここ2週間は多くの人にとって本当に厳しいものだった」。2013年から暗号資産を取引している個人投資家のケビン・ワン氏(33)はこう語る。









