「やりたいことが見つからない」――そんな状態に、焦りや不安を感じたことはないだろうか。夢や目標がないまま時間だけが過ぎていくように思えると、人はつい自分を責めてしまう。『人生は「気分」が10割』の著者、キム・ダスル氏の新刊『人生は期待ゼロがうまくいく』の発売を記念した本稿では、ライターの柴田賢三氏に「将来の夢」と現実についてのエッセイをご寄稿いただいた。(企画:ダイヤモンド社書籍編集局)
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将来の夢が「市役所職員」
今年の春から中学生になった一人娘に、改めて「将来どんな職業に就きたいか」聞いてみた。
小学校低学年の頃は、「漫画家」「声優」「アニメーター」といった、絵を描くことが好きな子どもらしい夢を語っていた彼女だが、今回は違った。
「地元の市役所の職員さんになりたい」
これまでとは違って、いきなり超現実的な夢を明かした彼女に思わず「どうして?」と問いただすと、こう答えた。
「歩いて3分以内だから。お母さんのお昼ご飯も家で食べられるじゃん」
理由は、まだ子どもらしい内容だったので少しホッとしたが、同時に中1で大きな夢を持っていないことに不安も感じた。
自分はどうだったか。小学生の頃は「医者」か「弁護士」と言っていたが、中1でどちらも絶対に無理だと悟った。スポーツでも、プロアスリートなど夢のまた夢。結局、いわゆるFランの大学を出て零細企業に就職した。
文系の両親から生まれた娘も、「算数」から「数学」へのステップで挫折し、自分を見失うのではないか。そのとき、地味だけど競争率もハードルも高い彼女の夢はどう変わるのか。
すべてが嫌になって、無気力になるんじゃないか。親の心配は、勝手にどんどん膨らむものだ。
「与えられた日常」に集中する
“人生の指標”となる言葉の数々を収録している本、『人生は期待ゼロがうまくいく』の中には「行きたくもない『結婚式』は行かない」という項目がある。
著者のキム・ダスル氏は、「社会で生きていくため必要なのに、学校でも家でも教えてもらっていないことって意外とたくさんあるものだ。次のことは早めに把握しておいて損はない」として、項目の見出しとなっている結婚式の出欠以外にも次のように記している。
2.やりたいことなどなくてもいい
夢や目標があるのに越したことはないが、無理に作る必要はない。夢や目標がなくても、与えられた日常に集中することはできる。その過程で、いつの間にか夢や目標が見つかったり、その分野のエキスパートとなる道もある。
――『人生は期待ゼロがうまくいく』(p.97~98)
娘は、これからあらゆる成功も挫折も味わい、本当に地元の市役所の職員になれるかもしれないし、なにかのエキスパートになるかもしれない。
今から親が心配したところで無意味だと、改めて気づかされた。
キム氏は、同じ項目で「家族への投資は心の糧になる」とも説いている。彼は、両親のために使った金だけは無駄じゃないとしているが、これからの私は娘への投資が心の糧になるだろう。
(本記事は『人生は期待ゼロがうまくいく』の発売を記念した書下ろしエッセイです)
大学卒業後、複数の出版社や不動産会社での社員を経てフリーライターとして独立。週刊誌、月刊誌、WEBメディアなどで記者、編集者を経験した。事件、芸能、スポーツ、サブカルチャーまで幅広く取材に携わり、のちに新聞やテレビでも大きな話題になったスクープをモノにしたこともある。





