「あの人、ちょっとどうかと思いません?」――そんなふうに他人の悪口で距離を縮めてくる人がいる。最初はただの“接待悪口”に思えても、気づけば周りから避けられているのではないだろうか。“人生の指針”を示してくれる新刊『人生は期待ゼロがうまくいく』(著:キム・ダスル、訳:岡崎暢子)の発売を記念した本稿では、ライターの柴田賢三氏に「悪口ばかり言う人」が孤立する理由についてのエッセイをご寄稿いただいた。(企画:ダイヤモンド社書籍編集局)
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「接待悪口」で
周りに取り入る社員
私が一時期勤務していた会社に、同業他社から転職してきた大宮さん(仮名)という男性がいた。
彼は私より5歳ほど年上でキャリアも長いベテランだったが、役職が上位である私に敬語を使い、業務のアドバイスを求めてくるなど、入社直後は気を使って接してくれているように思えた。
大宮さんは仕事ができる人で、入社して2~3カ月経つと、会社内で仕事をさぼっている社員や上司を見極めたようだった。当然ながら、大宮さんが見切りをつけた人たちは、私も苦手で表情や態度にそれが表れていたのだろう。
次第に、大宮さんが私に彼らの悪口を言ってくるようになった。
「Aさんは『てにをは』すら理解してないんじゃないですかね? 彼が作成した資料を修正するのは骨が折れますよ。柴田さんも長年、苦労してきたでしょ」
「販売部長のBさんが新しい商品の発注をぜんぜん取ってきてくれなくて参りましたよ。他社の類似商品の半分しか店頭に並べられないなんてありえない。あんな人がなんで部長になれてるんですかね。この前、柴田さんも会議でBさんと意見が対立してましたけど、お気持ちよくわかりますよ」
最初は、私が苦手な社員たちの問題点を指摘することで「同情します」という態度を見せる“接待悪口”のようなものかと思っていたが、日を追うごとにエスカレート。社長からアルバイトまで、私以外のほぼ全ての社員の悪口を言うようになり、私は大宮さんに恐怖を感じ始めていた。



