「言語化にモヤモヤする」
「即答よりじっくり考えるほうが大事」
「口下手のままでもいいじゃない」…
など、まったく新しいコミュ力を説いた書籍『言語化だけじゃ伝わんない』が発売された。著者でイラストレーターのヤギワタル氏は、これまで200冊以上の書籍でイラストや装画を担当してきて、今回が初の単著となる。本書では、昨今の「言語化ブーム」に対して警鐘を鳴らし、「言語化“以外”に目を向けること」をイラストレーターならではの視点で面白く解説している。本記事では、その中からビジネスパーソンにも役立つノウハウとして紹介する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

「人と仲良くなる」方法
「コミュ力が高い人ほど、人と仲良くなれる」
世の中では、そう考えられがちです。
話題が豊富。会話が面白い。初対面でもグイグイ話せる。
たしかに、そういう人は人間関係を築くのが得意そうに見えます。
ですが、『言語化だけじゃ伝わんない』という本では、もっとシンプルな「人と仲良くなる方法」が語られています。それは、「近くにいること」です。
人は「近い人」と自然に仲良くなる
本書では、こんな話が出てきます。
私が最初に話しかけたのは、自分の隣の席にいる人でした。
会社でも席が隣なら話しやすいです。
「ちょっとこれなんですけど……」と質問しやすい。同じフロアにいる人も話しかけやすい。
でも、別のフロアにいる人には距離を感じます。
同じ会社なのに、話しかけるには、ほんのちょっと負担がかかります。
すると、「これは話さなくてもいい」と思うことが増え、会話自体が減っていきます。
「話をしに行く」よりも「自分ひとりで処理する」が勝ってしまうのです。
これは、「遠いものほど伝えるのが難しい」の法則と呼ぶことにしましょう。
――『言語化だけじゃ伝わんない』より
これは非常にリアルです。たしかに、隣の席の人には気軽に話しかけられる。
でも、別フロアの人になるだけで、なぜか心理的ハードルが上がる。
つまり、人間関係は「性格の相性」だけではなく、「物理的距離」にも大きく左右されているのです。
リモートになると雑談が消える
本書では、リモートワークについても触れています。
オンライン打ち合わせがあっても、雑談は極端に減ります。
隣の人に話しかけるのと雰囲気が違いますし、打ち合わせが終わった瞬間に、バツっと切れてしまうからです。
私はフリーランスなので打ち合わせにはひとりで行きますが、会社員の頃は上司や先輩と一緒でした。
先方との打ち合わせが終わったあとの帰り道は、絶好の質問の機会でした。
曖昧な理解になっていたところを、「あれどう思います?」と聞いて考えを擦り合わせるのです。
――『言語化だけじゃ伝わんない』より
ここも重要です。人間関係は、「正式な会話」だけで深まるわけではありません。
移動中。帰り道。雑談。ちょっとした確認。そういう、ついでの会話の積み重ねが、人との距離を縮めています。しかし、オンラインではそれが消えやすい。
だから、「必要な会話だけをしているのに、なぜか関係が深まらない」ということが起こるのです。
「共有するまでの手間」が増えると…
本書では、最後にこう整理されています。
そうすると、考えを話すまでに時間がかかってしまうのです。
これが「遠いものほど伝えるのが難しい」の法則なのです。
――『言語化だけじゃ伝わんない』より
つまり、人は「遠い相手」とは、自然とコミュニケーション量が減ります。
話す前にエネルギーが必要になるからです。
逆に言えば、「仲良くなる方法」は意外と単純です。
近くにいる。同じものを見る。雑談できる距離にいる。それだけで、人間関係はかなり変わります。
「話し上手」より「近くにいる人」
最近は、「コミュ力を磨こう」という話が増えています。
ですが、『言語化だけじゃ伝わんない』では、「人間関係はもっと物理的なものだ」と教えてくれます。
人は、たくさん話した人と仲良くなるのではありません。
「気軽に話せる距離にいた人」と仲良くなるのです。
だから、人間関係に悩んだとき、「もっと話術を磨かなきゃ」と考える必要はないのかもしれません。
まずは、「近くにいること」。それが、もっともシンプルで強力なコミュニケーションなのです。
1981年静岡県生まれ。制作会社にて、雑誌タイアップ広告の制作進行を務めたのち、フリーランスのライターを経験。国際情勢関連の英日翻訳をやりながら、2011年からイラストレーターの活動をスタート。現在は書籍・雑誌・広告など幅広く活動中。特に、ビジネス書や新書での挿絵や図解を担当することが多く、10年以上、活躍している。
これまで、装画・イラストを担当した書籍は200冊以上。『言語化だけじゃ伝わんない』(ダイヤモンド社)が初の単著となる。








