「言語化にモヤモヤする」
「即答よりじっくり考えるほうが大事」
「口下手のままでもいいじゃない」…

など、まったく新しいコミュ力を説いた書籍『言語化だけじゃ伝わんない ―― 絵を描くように「考える・伝える」技術』が発売された。著者でイラストレーターのヤギワタル氏は、これまで200冊以上の書籍でイラストや装画を担当してきて、今回が初の単著となる。本書では、昨今の「言語化ブーム」に対して警鐘を鳴らし、「言語化“以外”に目を向けること」をイラストレーターならではの視点で面白く解説している。本記事では、その中からビジネスパーソンにも役立つノウハウとして紹介する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

【すごすぎる!】実は「コミュ力の天才」が見ていること・ベスト1

「コミュ力の天才」が見ていること

「コミュ力が高い人」と聞くと、多くの人は「話がうまい人」を想像します。

 会話が途切れない。
 説明がわかりやすい。
 初対面でも場を盛り上げられる。

 もちろん、それもコミュニケーション能力の一部でしょう。

 ですが、『言語化だけじゃ伝わんない』という本では、「本当にコミュ力が高い人は、“言葉以外”を見ている」と語られています。

「言葉だけ」を信じると、人を見誤る

 本書では、まずこんな例が紹介されています。

たとえば、会社に行ったら隣の席の同僚の顔が青ざめていて、汗だくで息もとぎれとぎれだったとします。
そこで「大丈夫?」と尋ねてみたところ、同僚は「大丈夫」と答えてきた。
言葉だけのコミュニケーションでは、表情や汗だくであることは伝わりません。
もし言葉だけでコミュニケーションをしていたら、「大丈夫なんだね」で終わってしまいます。相手が「大丈夫」と言っていたから、その言葉を信じて、「大丈夫なんだ」と納得してしまうわけです。
――『言語化だけじゃ伝わんない ―― 絵を描くように「考える・伝える」技術』より

 これは非常にリアルです。人は、本当に辛いときほど、「大丈夫」と言うことがあります。

 だから、「相手の発言だけ」を信じていると、本当の状態を見落としてしまう

 コミュニケーションとは、単に「言葉を受け取ること」ではないのです。

コミュ力が高い人は「違和感」を見る

 本書では、さらにこう続きます。

でも、具合の悪い様子を見てしまったらどうでしょうか?
いくら同僚が、「大丈夫です」と言っていたとしても、「いや、大丈夫じゃないでしょ!」と言うのではないでしょうか。
それから、医務室に行くことや、早退することをすすめることができます。
こういう対応ができるのは、「実際に会っている」からです。
言葉で説明しなくても、いろいろと伝わってくるものがあるのです。
――『言語化だけじゃ伝わんない ―― 絵を描くように「考える・伝える」技術』より

 本当にコミュ力が高い人は、「相手の言葉」だけを聞いていません。

 表情。声のトーン。姿勢。間。目線。そうした違和感を見ています。
 だから、「大丈夫」という言葉より、「全然大丈夫じゃなさそうな雰囲気」に気づける。

 そして、その違和感に対して自然に動けるのです。

人は「見たもの」から意味を読み取る

 本書では、最後にこう語られています。

人間には「見たものからメッセージを読み取る」という特徴があります。
私たちは何かを見たとき、そこにメッセージや意味を勝手に見出しているのです。
人は誰かと会っているときも、相手の見た目や振る舞いから、自然と意味やメッセージを読み取っていきます。
新人に業務内容を教えた人が、新人の表情や態度を見て、「わかってない」と読み取る。
これは逆の立場から考えれば、言葉を使わなくても、顔や体の動きだけで何かを伝えることができるということです。そして実際に多くの人が、うなずいたり、眉を寄せたりして、感情をあらわしています。
――『言語化だけじゃ伝わんない ―― 絵を描くように「考える・伝える」技術』より

 つまり、人間はもともと、「言葉以外」を大量に読み取る生き物なのです。
 なのに最近は、「ちゃんと言葉にしよう」が重視されすぎている

 その結果、「言葉だけを見ればいい」という感覚になってしまっているのかもしれません。

コミュ力とは、「観察力」

言語化だけじゃ伝わんない』は、「コミュニケーション=話術」という考え方を崩してくれます。
 本当にコミュ力が高い人は、話すのがうまい人ではありません。

 相手の小さな変化に気づける人です
 言葉になっていない違和感を拾える人です。
 つまり、コミュ力とは、「説明力」だけではない。「観察力」でもあるのです

ヤギワタル
1981年静岡県生まれ。制作会社にて、雑誌タイアップ広告の制作進行を務めたのち、フリーランスのライターを経験。国際情勢関連の英日翻訳をやりながら、2011年からイラストレーターの活動をスタート。現在は書籍・雑誌・広告など幅広く活動中。特に、ビジネス書や新書での挿絵や図解を担当することが多く、10年以上、活躍している。
これまで、装画・イラストを担当した書籍は200冊以上。『言語化だけじゃ伝わんない ―― 絵を描くように「考える・伝える」技術』(ダイヤモンド社)が初の単著となる。