「言語化にモヤモヤする」
「即答よりじっくり考えるほうが大事」
「口下手のままでもいいじゃない」…
など、まったく新しいコミュ力を説いた書籍『言語化だけじゃ伝わんない』が発売された。著者でイラストレーターのヤギワタル氏は、これまで200冊以上の書籍でイラストや装画を担当してきて、今回が初の単著となる。本書では、昨今の「言語化ブーム」に対して警鐘を鳴らし、「言語化“以外”に目を向けること」をイラストレーターならではの視点で面白く解説している。本記事では、その中からビジネスパーソンにも役立つノウハウとして紹介する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

説明がヘタクソな人、上手な人
「説明がうまい人」と聞くと、多くの人は、「話が上手な人」をイメージします。
論理的で、語彙力があって、スラスラ説明できる人。
もちろん、それも大事です。
ですが、『言語化だけじゃ伝わんない』という本では、「本当に説明が上手い人は、“言葉だけ”で伝えようとしない」と語られています。
「言葉だけの説明」は、意外と伝わらない
本書では、料理番組の例が紹介されています。
そこでは料理の先生が、言葉で解説をしていました。
「大根はこんなふうに乱切りで切っていきます」
「塩こしょうは適量。これくらいです」
言葉だけのレシピの場合、「乱切り」や「適量」がどういうものか、どの程度のものかを知らなければそこで立ち尽くしてしまいます。
――『言語化だけじゃ伝わんない』より
料理初心者に「乱切りしてください」と言っても、そもそも「乱切り」がイメージできなければ手が止まる。
「適量」も同じです。
つまり、説明が伝わらない原因は、「言葉が足りない」のではなく、「イメージできない」ことなのです。
上手な人は「見せながら話す」
本書では、さらにこう続きます。
「適量」と言いながら、どれくらいの量かをちゃんと見せる。
知らない言葉でも、実際に見えると、その言葉の意味がわかるのです。
これぞ、ビジュアルコミュニケーションです。
言葉の説明だけではわからない人も、映像で見れば「そうやるんだ」とわかります。
――『言語化だけじゃ伝わんない』より
本当に説明が上手い人は、「もっと細かく言葉で説明しよう」とは考えません。
サッと図を描く。実演する。見せる。たとえを出す。
つまり、「視覚」を使うのです。だから、相手は一瞬で理解できる。
逆に、説明が下手な人ほど、「もっと言葉を足さなきゃ」と考えてしまう。
その結果、話が長くなり、余計に伝わらなくなるのです。
「言葉」と「ビジュアル」を両方使える人は強い
本書では、最後にこう整理されています。
コミュニケーションの手段は「言葉」だけでも、「ビジュアル」だけでもありません。
その「両方」を使うからこそ、パッと、的確に伝わるようになるのです。
――『言語化だけじゃ伝わんない』より
これは、仕事でも同じです。口頭説明だけの会議は、理解にズレが生まれやすい。
ですが、図やイメージがあるだけで、一気に伝わることがあります。
つまり、コミュニケーションとは、「どれだけ正確な言葉を使えるか」だけではありません。
相手の頭の中に、「同じ景色」をつくれるかどうかなのです。
「説明力」は、語彙力だけではない
最近は、「言語化能力」が重視される時代です。
ですが、『言語化だけじゃ伝わんない』は、「言葉だけでは限界がある」と教えてくれます。
本当に説明が上手い人は、言葉だけで勝負しません。
「コレです」と見せる。図にする。動きで示す。
そうやって、相手が理解できる形に変換しているのです。
だから、説明力とは、「たくさん話せる能力」ではなく、相手が理解できる形をつくる能力なのです。
1981年静岡県生まれ。制作会社にて、雑誌タイアップ広告の制作進行を務めたのち、フリーランスのライターを経験。国際情勢関連の英日翻訳をやりながら、2011年からイラストレーターの活動をスタート。現在は書籍・雑誌・広告など幅広く活動中。特に、ビジネス書や新書での挿絵や図解を担当することが多く、10年以上、活躍している。
これまで、装画・イラストを担当した書籍は200冊以上。『言語化だけじゃ伝わんない』(ダイヤモンド社)が初の単著となる。








