第3位:物理的にスマホを遠くにしまう

港くん:「あと、地味だけどかなり困るのが『スマホを遠くにしまう』ってやつ。仕事中とか勉強中はスマホを部屋の外に置くようにしたら、さわらなくなった――みたいな例はめちゃくちゃ多い

山口くん:「え、それだけで?」

 山口くんには、それがそんなにすごい方法には思えません。

港くん:「いや、これをされると『ついスマホを見てしまう状況』が一気に崩れるんだよ。視界からなくなって意識しづらくなるし、見たくなっても開くのが面倒になるから」

山口くん:「うーん、これはなんかピンとこないかも……。だって開くのが面倒って言っても、せいぜい数秒あればドアを開けて手に取れるわけでしょ」

港くん:「いや、時間というより状況の問題なんだよ。人はそこにスマホがあるからなんとなく見てるだけで、大抵は『絶対見たい』なんて強い意志があるわけじゃない。だからただ遠くにあるってだけで、面倒になって諦めたりする」

山口くん:「ふーん、そんなもんかなあ」

 山口くんはそのとき、説明を聞いてもあまり納得できませんでした。

 しかし数日後、その意味を理解することになります。

第2位:「無理のない」利用制限をかける

港くん:「次は、利用制限。スマホに『SNSは1日3時間まで』みたいな制限をかける。まあそれを超えてもふつうに開けるんだけど――」

 港くんは自分のスマホを開き、操作してみせました。

 ――Instagramの制限時間を超えました――

 その画面の下には「制限を無視」というボタンがあります。

 タップすると、何事もなかったようにアプリが開けました。

山口くん:「あ、こんなかんたんに開けるんだ」

 思っていたよりもゆるやかな制限に、山口くんの抵抗は和らぎます。

港くん:「でもここが注意点。よく毎日何時間もSNSを見てた人がいきなり『1日10分』みたいに無茶な制限をかけたりするんだけど、それはほぼ間違いなく失敗する。まあSNS会社からしたらありがたいんだけど」

(危ないところだった……。それ、ぼくもやっちゃいそうだったな)

 と山口くんは思いました。

港くん:「無理な制限をかけると、何度も解除ボタンを押すことになるだろ。するとやがて何も考えず反射的に解除ボタンを押す癖がつく。そうなったらもう、制限はなんの意味もなくなる

山口くん:「ふむふむ」

港くん:「そうじゃなくて、まずはすこしだけ減らすんだ。いつも1日4時間見てるなら、3時間半とか。そうすると既に満足して、惰性で見てるだけの時間になるから『今日はこれくらいにしておくか』って思える可能性がちゃんと出てくる」

 山口くんはやり方を教えてもらい、「SNSは1日4時間」と設定してみます。

山口くん:「ん?」

 ――アプリグループ『SNS』の制限時間を超えました――

 いきなり制限画面が表示されました。

 山口くんはお昼時点で既に、4時間以上SNSを見ていたのです。

 横で見ていた港くんは思いました。

(問題は深刻そうだ……)

第1位:アプリを消す

港くん:「もっとも致命的なのは、アプリを消されること」

山口くん:「ぐ……」

 山口くんは、ものすごくしぶい顔をしています。

港くん:「でも、SNSを見ちゃいけないってわけじゃない」

山口くん:「ほう?」

 その一言に、山口くんはピクリと反応しました。

※本記事は、『脱スマホ術──「何もせず1日が終わった」がなくなる』を抜粋、再編集したものです。

戸田大介(とだ・だいすけ)
山形県出身。新卒で電通アイソバー(現・電通デジタル)に入社。データアナリストとして勤務したのち、bondavi株式会社を創業。データと行動科学の知見をもとに、人の前向きな行動を引き出すアプリの開発に取りくむ。全アプリを広告なし・無償で提供し、ユーザー任意の寄付により運営している。『継続する技術』『集中』は国内有数のヒットとなり、累計ダウンロード数は1000万を超える。著書『脱スマホ術』『継続する技術』。