「そういうことか!」
日本の「ふっくら感」がない
カルボナーラは至って普通だ。ヒントは、その横にある「フォカッチャ」の形と質感である。 わかる人はすぐに気づいたかもしれない。日本のサイゼリヤで提供される、こんがりと焼き目がついてふっくら厚みのある「もっちり」としたフォッカチオとは異なり、写真のそれはペタッと薄く、フラットな形状をしているのだ。
そう、これはシンガポールのサイゼリヤの風景である。日本のサイゼリヤでは2025年2月のメニュー改定で「新フォッカチオ」が登場し、これまで以上の厚みと、サクッともっちりした噛み応え、そして揚げパンのような香ばしさが強化された。主役級の存在感を放つ日本のフォッカチオを見慣れた目には、この薄さは異常に映るはずだ。
日本のサイゼリヤの「フォカッチャ」 Photo:Diamond
日本のサイゼリヤの「フォカッチャ」 Photo:Diamond
シンガポールのサイゼリヤの「フォカッチャ」 Photo by K.O.
シンガポールのサイゼリヤのグランドメニュー Photo by K.O.
しかし、これこそがシンガポール市場における「正解」なのである。華人、マレー系、そしてインド系など多民族が共生するシンガポールでは、ロティ・プラタやナンのような「フラットでちぎりやすいパン」の文化が根強い。
シンガポールの公式グランドメニューでの表記は「ORIGINAL FOCACCIA」に加えて、中国語で「披萨包」(直訳するとピザパンの意)と記されていて、実際、フラットでふんわり柔らかい食感になっていた。
現地ユーザーからも「この安さなのに、本格的なナンみたい」「スープやソースに浸すのに最高」と評されており、多民族が日常的に消費するサイドメニューとして見事に溶け込んでいる。
セントラルキッチンで生地の水分量や油分の配合から緻密(ちみつ)にコントロールするサイゼリヤの「SPA(製造小売業)モデル」の強みを生かした、鮮やかなローカライゼーション(現地化)の賜物である。
しかし、メニューの形状という「目に見える違い」以上に私が現地で驚愕(きょうがく)し、深い関心を抱いたのは、実はこの写真には写っていない「サラダ」の圧倒的なクオリティーと、日本には存在しない「最高に美味しい肉料理」であった。







