シンガポールは国土が東京23区ほどしかなく、国内での農業生産基盤がほぼゼロに等しい。そのため、野菜を含む食品の90%以上を海外からの輸入に依存している。一見すると、食材の調達には絶望的に不利な環境に思える。
しかし、これがSPAモデルにおいては「逆説的な強み」へと反転するのだ。
シンガポールは世界有数のハブ港湾を持ち、港から巨大冷蔵倉庫、そしてショッピングモール内の店舗に至るまで、途切れることのない世界最高水準のコールドチェーン(低温物流網)が構築されているのだ。
シンガポールのサイゼリヤは、隣国マレーシアなどから新鮮な野菜を輸入するだけでなく、自社の「オーストラリア・メルトン工場」から高品質な肉やソースなどの加工品をチルド・冷凍状態で輸入している。
あの圧倒的に美味しいポークリブのような肉料理も含め、シンガポールではオーストラリア工場を軸とした広域調達網が品質を支えているのだ。
フォカッチャの食感やポークリブのBBQソースといった、多民族市場への「遊び心」あるローカライズを許容しながらも、品質の根幹に関わるサプライチェーンにおいては、現地のインフラ特性(輸入依存と高度物流)を極限までハックし、日本のクオリティーを再現、あるいは超越する。
シンガポールでの驚きは、単なる気候や農業の違いではなく、「物流」という見えないインフラの力がもたらしたものだった。
シンガポールのサイゼリヤの看板 Photo by K.O.
日本のサイゼリヤの看板 Photo:Diamond
日本のサイゼリヤの店内 Photo:Diamond







