部下「背景が理解できて良かったです。ですが、私はやっぱりお客様と直に話す仕事がしたいのですが、今の業務で何か方法はありそうですか」

上司「たとえば、分析したレポートを使って顧客向けセミナーを開催し、そのセミナーのスピーカーとして顧客をフォローする役割はあり得るかもしれませんね。また、長期的には『データアナリスト×コンサルティング営業』のような人材は会社として必要としているし稀少性も高い。今回の配置転換をチャンスだと思って、勉強と挑戦につなげてもらえると私としてもありがたいと思っていますよ」

部下「なるほど、そのような捉え方もありますね。新しい役割の中で顧客へ価値提供できる方法を考えたいと思っているので、サポートをお願いしたいです。モヤモヤしていた気持ちがスッキリしました。ありがとうございます」

 ボスマネジメントに欠かせないのが、このようなアサーティブな対話です。

上司とWin-Winの状態をつくると
仕事の依頼も増える

 組織全体の配置などは動かせない場合もありますが、その中でも自分のやりたいことやモヤモヤしている感情を主張しつつ組織の期待を傾聴することで、上司と共に新しい役割や将来のキャリアを検討することは可能です。

 こうした上司との関係性を構築できるスキルがあれば、上司が代わっても、部署が変わっても、事業方針が変わっても対応できます。単に「不満がない」状態ではなく、より満足度の高い働き方を実現することも可能になります。

 働く環境の変化は、あなたの意思とは無関係に起こります。「今の上司とはうまくいっているから大丈夫」は、安心材料にはならないのです。

 しかし、ボスマネジメントのスキルやアサーティブコミュニケーションは、いったん身につければ失われることはありません。

 上司とWin-Winの状態をつくれると、上司からの声がけも多くなります。

「こういう案件があるのだけれど、やってみませんか」
「この分野について、あなたは熟知していますよね。協力してもらえませんか」
「企画の仕事がしたいと言っていましたよね。一回、企画書をつくってみてほしいのですが」
「うちの部署から一人勉強会に参加してもらう必要があるのですが、参加してみたいですか」

 自分のやりたいこと、進みたいキャリアを上司に伝えておくことで、部下からアプローチをしなくても、上司が考えてくれたり、動いてくれたりするのは楽だと思いませんか。ボスマネジメントは、上司を説得するためのスキルではなく、自分のキャリアを前に進めるためのスキルなのです。