スウェーデンの街並みスウェーデンの街並みと同様に、同国の公共サービスも変貌を遂げた

【ストックホルム(スウェーデン)】集団主義の模範とされてきたこの国が、たくましい個人主義へと軸足を移しつつある。

 何十年もの間、スウェーデンは高税率・高支出型の政府の代名詞だった。公立の病院、学校、介護施設を通じて、国民の人生を「ゆりかごから墓場まで」支える仕組みを築き上げてきた。

 だがそれはもう過去のものだ。人口1100万人のこの北欧の国は、大きな騒ぎを起こすこともなく、資本主義を受け入れた。

 現在では、初期診療(プライマリーケア)を手掛けるクリニックの半数近くが民営化されており、その多くはプライベートエクイティ(PE)投資会社が所有している。また公立高校の3校に1校が民間運営で、その割合は2011年の20%から上昇した。学校運営会社は株式市場に上場している。

 スウェーデンの事例は、他の富裕国に対して良い面でも悪い面でも教訓を与えている。米国もその一つで、ニューヨーク市のゾーラン・マムダニ市長は保育の無償化や市営店舗など、スウェーデンの国家主導モデルの一部を取り入れようとしている。

 資本主義的な変革により、スウェーデンはここ数年でほとんどの先進国が成し遂げられなかったことを実現した。国家の規模を縮小したのだ。これにより、政府は大幅な減税を実施することが可能となり、エコノミストらによると、起業家精神の高まりと経済成長を促した。

 医療、教育、全ての社会保障給付を含む公的社会支出の総額は、国内総生産(GDP)比約24%に低下した。これは米国と同水準で、フランスやイタリアなどの30%超を大きく下回っている。

 多くの欧州諸国が増税を進める中、スウェーデンのエリサベット・スバンテソン財務相は3年連続で減税を実施してきた。1980年代には約90%だった同国の最高所得税率は、現在は50%近くまで低下している。