『風、薫る』第54回より 写真提供:NHK
今日の朝ドラ見た? 日常の話題のひとつに最適な朝ドラに関する著書を2冊出版し、毎日レビューを続けて12年めの著者による「読んだらもっと朝ドラが見たくなる」「誰かと話したくなる」連載です。本日は第54回(2026年6月11日放送)「風、薫る」レビューです。(ライター 木俣 冬)
「これで夕凪は終わりです」
ペンは剣より強し。
シマ剣じゃなくてシマケン(佐野晶哉)の記事が威力を発揮する。
セツ(村上穂乃佳)のことを書いた記事によって、権田(梅垣義昭)が「(店に)戻ってこないでくれ」と言い出す。
どいつもこいつもデタラメな話を信じやがって、と悔しい権田。でも世論には勝てない。セツこと夕凪(新聞では夕顔)に同情して店の評判が落ちては困る。
でも、そもそもみんな遊郭にいる女性は不幸な身の上とわかっているのでは?という気もしないではないが…。へんなの。権田もそう思っているようだが、話を単純化するのは昨今のエンタメのトレンドである。
権田はセツを辞めさせる代わりに記事の差し止めを要求する。
夕凪はさらに条件を出す。辞められるだけありがたいのに、こうなると強気である。それは直美(上坂樹里)の母・夕凪の情報を教えてほしいというものだった。
うまいこと直美の母と話がつながる、と思ったら、権田はたいした情報は持っていなかった。
なにはともあれめでたしめでたし。
「これで“夕凪”は終わりです」と直美。
「なんだかウソみたいだ」とセツ。
ここで、フィクションが現実を動かすことについて考えてみたい。
例えば、史実に基づいたフィクションで、史実と違うという意見が出たとしても、モデルになった人物に関する書籍の売り上げが上がったり、ゆかりの地に観光する人が増えたりして経済効果が高まることもある。
違っていてもいい印象であれば、それをきっかけに当人を深く知ることもあるだろう。筆者も朝ドラや大河をきっかけに随分、いろいろ勉強させてもらった。知るきっかけづくり。そう考えればいいのではないか。
シマケンの場合、遊女の労働環境が著しく悪いことを世に問うという目的なので、夕顔(セツ)がかなりフィクションでも問題ないだろう。これは、店で夕顔を宣伝するときに、見た目を誤魔化したりしたら問題だとは思うが。
生い立ちなどは、当人たちだって客に本当のことを話していないだろうし、盛って話すこともあるだろう。そもそも本名を隠して源氏名で商売しているのだから。







