どうすればお金をかけずに、売上や利益をもっと増やせるのか? この切実なお悩みに答えるのが、人気の販促コンサルタント・岡本達彦氏の最新刊客単価アップ大事典 「つい買ってしまう」販促の仕掛け75』(ダイヤモンド社刊)です。同書は、「行動経済学×現場目線」で「つい買いたくなる」販促の仕掛けとは何かを言語化した初の書。本書が提示するのは、「お客様の購買行動そのものを変える設計とは?」です。どうすれば、「利益が残る経営」へと変われるのか? 本連載では、『客単価アップ大事典』に収録しきれなかった事例の中から、現場ですぐに導入でき、成果につながりやすい客単価アップの仕掛けを厳選してご紹介していきます

なぜ病院やクリニックの待合室には、特定の症状に関する「パンフレット」が置かれているのか?Photo: Adobe Stock

「待っている間」に、気になることが増えていく理由

 内科の待合室で診察を待ちながら、壁のラックにある「血圧が気になる方へ」や「腸内環境のチェック」といったパンフレットを読んでいるうちに、「そういえば自分も当てはまるかも……」と感じたことはありませんか?

 そして診察室に入った際、本来の目的以外に「先生、実はもう一つ気になることがあって」と切り出す。

 実はこれ、お客様(患者様)自身も気づいていなかった悩みを引き出し、追加の診療や処方へと繋げるための、非常に自然な販促の仕掛けなのです。

「気づいていない問題」を意識の表舞台へ

 人は、問題を意識しなければ、それを解決しようとは思いません。

 待合室のパンフレットは、特定のテーマを通じて、お客様が今までスルーしていた体の状態を「相談すべき課題」へと顕在化させます。

 これは「啓発的情報接触」とも呼べる手法で、強引な営業なしにお客様自身が必要性を発見するプロセスを設計しています。

 無理に営業をするのではなく、正しい情報に接触させることで、お客様自らが「自分にとって必要だ」と発見するプロセスを設計しているのです。

「待ち時間」が「自分との対話」に変わる

 混雑した売り場ではゆっくり考えられませんが、「待つ」という状況は認知的余裕を生みます。この時間に情報を読むことで、内容を深く処理し、「これ、私のことだ」という「自己関連付け効果」が起きやすくなります。

「待ち時間」を単なる退屈な時間にするのではなく、お客様が自発的に「追加のサービス」の必要性を検討する「啓発の時間」へと変換しているのです。

他のお店でも使える「啓発パンフレット」設計

 ・美容院
 鏡の前に「30代からの頭皮ケア」などの小冊子を置くことで、ヘッドスパやトリートメントの追加注文を誘発する

 ・ホームセンター
 工具売り場に「DIYで実は危険なポイント10」というブックレットを置き、プロによる工事依頼の入り口を作る

 ・整体院
「なぜ肩こりは再発するのか」というリーフレットを置くことで、単発利用から定期メンテナンス通院への下地を作る

まとめ

 待合室にパンフレットを置くのは、

 ・ 「啓発的接触」により、お客様の中に眠っている潜在ニーズを掘り起こす
 ・ 待ち時間を「検討時間」に変え、情報の深い処理と自己関連付けを促す
 ・ 「知らなかった選択肢」を提示し、お客様からの自発的な申し出を引き出す

 という、売り込まずしてお客様の「欲しい」を再生産し、客単価(診療単価)を向上させるための販促戦略なのです。

岡本達彦(おかもと・たつひこ)
販促コンサルタント
現場目線ですぐ使えるマーケティングを伝える第一人者。
広告制作会社時代に100億円を超える販促展開を見て培った成功体験をベースに、むずかしいマーケティングや心理学を使わず、
アンケートやマンダラ等を活用して、誰でも売れる広告を作れる手法を体系化する。
業界を問わず即効性が高く、お金をかけずに売上を上げられることから、全国の商工会議所・経済団体などからセミナー依頼が殺到する。
初の著書『「A4」1枚アンケートで利益を5倍にする方法』(ダイヤモンド社)は、Amazon上陸15年、「売れたビジネス書」50冊にランクインする。
他の著書に、『お客様に聞くだけで「売れない」が「売れる」に変わるたった1つの質問』
『あらゆる販促を成功させる「A4」1枚アンケート実践バイブル』
『「A4」1枚チラシで今すぐ売上をあげるすごい方法』『「マンダラ広告作成法」で売れるコピー・広告が1時間でつくれる!』(以上、ダイヤモンド社)等がある。