社内向けに多様なAIツールを展開、利用率が9割に達する部署も

――現在、社内ではどのようなAIツールが展開されているのでしょうか。

藤井 社員向けに多様なツールを展開しています(図1)。AIチャットアプリをはじめ、議事録アプリ「めんきくん」や、スライド資料を自動作成する「みずほスライドジェネレーター」、アイデアを効率的に壁打ちできる自律型壁打ちエージェントなどがあります。また、調査計画を策定し、参考文献等幾多の情報をカスタマイズしレポート作成するツール「みずほDeepResearch」、ベテラン社員の知識や経験をデータ化する「みずほAIインタビュアー」、社内メッセージやメールをチェックするコンプライアンス系フィルターツール、翻訳ツール、さらに法人営業担当者向けの支援ツール「RM Studio」も活用されています。これらを含め、常に50程度のプロジェクトが入れ代わり立ち代わりPoC(概念実証)で動いています。

――ツールの利用状況はいかがですか。

藤井 ここ1年で急速に利用率が上がっています。本部では部署によって8割、全体でも6割強の社員が日常的に使っています。リサーチや提案を行う部門では、9割近くに達している部署もあります。営業部門は本部に比べると少し利用率が落ちるものの、毎月着実にユーザー数は増加しています。

 最新のモデルを導入する際には社内で宣伝するため、ユーザー数が一気に跳ね上がります。普段から生成AIの最新版のサービスに触れていて、アップデートを心待ちにしている社員も多いようです。そういう意味ではツールの民主化はかなり進んできたと思います。

――AIツールの導入によって、具体的にどのような成果が出ていますか。

藤井 顕著な成果の一つが、営業支援ツール「RM Studio」です(図2)。「RM Studio」にお客さまとの過去の面談議事録や顧客情報をインプットすると、AIエージェントが提案シナリオとプレゼン資料のドラフトを自動で作成します。裏側ではウェブ検索や、自行内の情報探索エージェントなどが連携して動いており、それらを参照しながら提案内容を組み立てていきます。これまで1日から5日かかっていた準備時間の50%削減と、お客さまへの訪問件数3倍以上を目指しています。現時点ではPoC段階ですが、準備時間は確実に数割削減できており、支店からも、お客さまを訪問しやすくなったという声が上がってきています。

 また、私の部門では、ミーティングには最小限の人数しか出席しないというルールにしています。AI作成の議事録は、要点がしっかり把握できる上、不参加だった人でも臨場感を感じられるレベルだからです。以前は伝わったり伝わらなかったりしていた情報が確実に共有され、それが仕事全体の質の向上につながっています。資料のスライドを作ることもなくなりました。外部のSaaSとして契約していた翻訳ツールを解約してコストを削減するといった効果も出てきています。