インフレ局面では、資産の価値を維持するためには、現金を何かに変えて、お金にもっと働いてもらい、お金を増やさないといけません。お金に働いてもらう、つまり、投資が必要なのです。
インフレ局面では、資産の価値が上がるので、高額な資産を持っている人ほど、裕福になる傾向があります。
たとえば、インフレで資産価値が1年後に2割上がるとしましょう。もし、1台1000万円の車を持っていたら、1年後に1200万円(+200万円)になり、1軒1億円の家を持っていたら、1年後に1億2000万円(+2000万円)になります。
つまり、インフレのときには、車、不動産、株式など、保有している資産が高額であればあるほど、その資産価値は大きく増えるのです。
もちろん、資産は高額ならどれでもいいわけではなく、価値が上がるものを厳選しておく必要はありますが、資産を持っている人と持っていない人、投資をしている人としていない人、その格差は、インフレのときにこそ広がってしまうのです。
自国通貨安に陥った国は
株価が上昇しやすい
インフレ局面では、なぜ株価は上昇するのでしょうか。もちろん投資に絶対はありませんが、ヒントとなる考え方ならあります。
まず、図4-14のとおり、2025年7月時点で、過去5年間で株式が上昇した国は、アルゼンチン、トルコ、ナイジェリア、エジプトなどで、これらの国の共通点は、インフレ率が高いことです。
同書より転載 拡大画像表示
では、なぜインフレ率が高いと、株価が上昇するのでしょうか。
理由は、図4-15のように、通常時とインフレ局面での、企業の貸借対照表を比べると分かりやすいでしょう。
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まず、貸借対照表は、左側に資産、右側に負債と純資産があり、左右が同じ金額になるようにできています。
資産は、企業の売上、保有資産や在庫などなので、インフレ局面では、その価値は上昇します。一方、負債は、いわゆる借金なので、インフレ局面でも金額自体は変わりません。そして、企業価値である純資産は、資産-負債で求められるので、インフレで資産が増えた分が増加することになります。
『経済はお金から学べ』(堀井正孝、SBクリエイティブ)
インフレ局面では、負債は増えず、資産と純資産が増えるので、業績が好調と理解され、株価が上がるのです。
ただし、インフレ体質の国では、自国通貨が下落しやすいことも特徴になります(図4-14)。
自国の通貨安=高インフレ率=株高の関係が成り立つので、株価が上がっても為替で損をすることが多々あるため、為替を考えなくてはならない海外投資家にとっては投資妙味が少なくなってしまいます。
もし、日本の円安がインフレ高に基づくものであれば、株価が上昇してもおかしくはありません。インフレが続くなら、為替が絡まない日本の国内投資家にとっては、日本の株式が、意外にも投資の中核になるかもしれません。







