エネルギー動乱Photo:PIXTA

電力小売り全面自由化から10年。長年の宿題だった料金規制解除の条件を、沖縄エリアが全国で初めて満たした。いち早くスタートラインに立ったものの、沖縄エリアで市場参入や競争が十分に行われるのか疑問視する声も強い。長期連載『エネルギー動乱』の本稿では、沖縄特有の構造的課題と「規制なき独占」のリスクに迫る(ダイヤモンド編集部 鈴木文也)

全国で唯一の条件クリア
沖縄エリアで進む料金規制解除

 2016年4月に電力小売り全面自由化が始まり利用者が電力事業者を自由に選択できるようになったが、住宅などが対象の低圧部門の電力料金はいまだ「規制料金」と「自由料金」に分かれている。

 自由料金は自由化と同時に始まった料金制度で、事業者が文字通り料金形態やプランを自由に設定できる。一方の規制料金は自由化以前から存在した関西電力などの旧一般電気事業者が対象となっている料金設定で、料金の値上げ時には国の認可が必要となる。

 電力小売り全面自由化後も低圧部門で規制料金を残したのは、規制をなくして市場への自由な参入を促したにもかかわらず、競争が発生しない「規制なき独占」に陥ることを防ぐためだ。規制料金は20年度までを経過措置期限と定めていたものの、競争未成熟を理由に経過措置期間が延長され、現在も規制料金が継続しているのが実情だ。

 規制料金付きの自由化で落ち着きを見せている業界だったが、ここにきて様子が変化している。26年6月に実施された電力・ガス取引監視等委員会の会合で沖縄エリアの料金規制解除の可能性が議題に上がったのだ。

 料金規制解除には三つの前提条件をクリアしなければならないが、長年そのうちの一つがクリアできない課題とされてきた。

 すでに多くのエリアで達成済みと判断されているのが、契約している電気事業者を変更する「スイッチング」と「競争の持続的確保」だ。

 資源エネルギー庁の公表資料では、自由化の認知度は8割を超えスイッチングも全国で増加している。競争の持続的確保についても、東北、東京、中部エリアを除く全ての地域で、発電事業者の小売り部門と新電力事業者の間で卸売料金を統一する内外無差別が取り入れられたと判断されている。

 そして三つ目の条件が、各エリアの旧一般電気事業者を除きシェア5%以上の事業者が2社以上存在するというものだ。今回、これを唯一クリアしたのが、沖縄エリアなのだ。

 新電力の参入を阻む壁を崩し、全国で唯一「シェア5%」の基準をクリアした2社の実名とは。そして、なぜ沖縄の電力自由化が「危うい」と疑問視されるのか。次ページで解禁の裏に潜む実態と、沖縄特有の電力事情に迫る。