学校の授業で学ぶ歴史には、偉人たちの輝かしい功績や「すごい」エピソードが数多く登場します。しかし、どんな人物にもそれだけでは語れない一面があります。歴史をひもとくと、「すごい」人の中にも、思わず目を疑うような「やばい」行動や選択が、数多く記録されているのです。
そんな「すごい」と「やばい」の両面から、日本史の人物のリアルな姿に迫るのが『東大教授がおしえる 超!やばい日本史』。同書より特別に一部を紹介します。取り上げるのは、江戸時代に天然痘の予防接種を広め、多くの命を救った医師・緒方洪庵です。
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すごい:ワクチンで天然痘ウイルスと戦った医師
高熱や発疹が出て死にいたることもある病、天然痘。緒方洪庵は子どものころ天然痘で死にかけ、医師になるため学び、28才で大阪に診療所と西洋医学の塾「適塾」を開きます。洪庵は全国から集まった塾生とともに貧しい人々にも治療を行いました。
とくにすごいのは天然痘ウイルスを防ぐ「種痘」とよばれる予防接種を広めたことです。洪庵は海外から輸入された天然痘ワクチンを取り寄せ、大阪に「除痘館」という種痘施設をつくりました。
また、コレラというこわい感染症が広がったときには、すぐに治療法をまとめた本を書いて人々の命を守ろうとしました。洪庵は近代医学でたくさんの人の命を救ったのです。
やばい:将軍の主治医になったストレスで亡くなる
天然痘ワクチンは牛の病気を利用したものだったため、「打つと牛になる」「子どもに毒だ」というデマが広まり、洪庵はとても苦労しました。接種代をタダにし、正しい知識を書いたチラシをまいて、ようやく人が集まるようになった矢先……偽ワクチン屋が出現! 除痘館だけを公認するよう幕府にかけあうなど、洪庵はトラブルに翻弄されます。
さらに、幕府に偉業を認められた洪庵は、大阪から江戸に呼び寄せられ、将軍の主治医と西洋医学所の頭取に任命されます。でも、江戸での仕事は堅苦しいストレスの連続。
幕府の命令なのでつらい仕事から逃げることもできず、江戸に来た翌年、かれは突然血をはいて亡くなってしまいました。享年53でした。
イラスト:和田ラヂヲ(『東大教授がおしえる 超!やばい日本史』より)
(本原稿は『東大教授がおしえる 超!やばい日本史』からの抜粋です)









