学校の授業で学ぶ歴史には、偉人たちの輝かしい功績や「すごい」エピソードが数多く登場します。しかし、どんな人物にもそれだけでは語れない一面があります。歴史をひもとくと、「すごい」人の中にも、思わず目を疑うような「やばい」行動や選択が、数多く記録されているのです。
そんな「すごい」と「やばい」の両面から、日本史の人物のリアルな姿に迫るのが『東大教授がおしえる 超!やばい日本史』。本記事では、本書の内容を引きながら、日本史上最も「現代にいたら成功しそうな人物」ベスト3を紹介する。(ダイヤモンド社書籍編集局・三浦岳)

日本史上最も「現代にいたら成功しそうな人物」ベスト3Photo: Adobe Stock

第3位:織田信長――圧倒的な知性と適応力

 戦国時代を代表する革命児・織田信長。そのすごさは、単なる軍事的才能だけではない。以下は同書からの引用である。

 西洋の天文学・地理学の知識がなかった当時の日本で、初めて地球儀を見たかれは、短時間で「地球は丸い」こと、「日本がアジアの東端に位置している」ことを理解して宣教師たちをびっくりさせたといわれています。――『東大教授がおしえる 超!やばい日本史』より

 既存の常識にとらわれず、新しい技術や文化を貪欲に取り入れる姿勢。楽市楽座による経済改革、鉄砲の戦術的活用など、彼のイノベーション精神は、現代の起業家にも通じるものがある。

 現代にいれば、既存業界の常識を次々と塗り替える起業家として活躍していたにちがいない。

第2位:世阿弥――普遍的な「伝える技術」の体系化

 室町時代に能を大成させた世阿弥。

 世阿弥は、貴族や武家などに親しまれた古典文学を題材にした作品や、幽霊などが登場する幻想的な「夢幻能」を発明し、能を芸術の域にまで高めたという。

 世阿弥が現代でも通用すると思われる理由は、芸術を感覚だけでなく、言葉によって体系化した点にある。

 世阿弥は未来の人たちにも伝わるように、能をどう演じたら心に届くかを『風姿花伝』『花鏡』という本にまとめました。
 いまでもその考え方は使われていて、とくに「秘すれば花なり(人は秘密があるほうが魅力を感じる)」という言葉は世界中の人に影響を与えています。――同書より

 人はなぜ心を動かされるのか。その仕組みを分析し、後世に伝わる形で残した世阿弥は、現代にいれば一流のプロデューサーやクリエイティブディレクターとして活躍していたのではないだろうか。

第1位:小栗忠順――国家経営のビジョナリー

 幕末の激動期、誰よりも先を見据えていた男、小栗忠順。彼こそ、現代に最も適応できたであろう人物である。

 忠順は「経済がしっかりしていないと国は強くなれない」と、税の仕組みや通貨制度も見直そうとしました。金や銀の流通を整え、外国との貿易を公平にし、日本の産業が成長できるよう努力しました。
 幕府は新政府に倒されてしまいますが、早くから「鉄道も必要だ」と主張していたかれの考え方は、のちの明治政府の政策にもつながっていきます。――同書より

 当時の日本では、外国を追い払うべきだという攘夷論が大きな力を持っていた。しかし忠順は、そうした時代の空気に流されず、海外の技術や制度から学ぶ必要性を理解していた。

 1860年には遣米使節としてアメリカを訪れ、帰国後は横須賀製鉄所(のちの横須賀造船所)の建設を推進するなど、日本が近代国家として生き残るための基盤づくりに力を注いだ。

 いま振り返ると、忠順が目指していた方向は驚くほど正しかった。産業を育て、インフラを整え、世界と競争できる国をつくる。その後の明治日本が歩んだ道は、まさに彼が見ていた未来そのものだった

 時代に先駆けて「日本のあるべき姿」を構想していた小栗忠順。現代に生きていたなら、日本を代表する経営者や政策立案者として大きな成功を収めていたにちがいない。

(本原稿は『東大教授がおしえる 超!やばい日本史』に関連したオリジナル記事です)