美由紀は面会中、私のことを他の記者と違う特別な存在だと認識しているかのような話を繰り返した。

 たとえば、次のように。

「私の友人たちは、私に関する報道が嘘ばかりなので、片岡さんに本当のことを話したいと言っています」

「片岡さんが鳥取に取材に行く際は、友人の家に泊まってもらうつもりです」

「母も片岡さんに会いたいそうです。私も片岡さんには子供たちに会って欲しいです」

 結局、これらの話は1つも実現しなかった。要するに嘘なのだ。とくに友人については、連絡先を聞いても、はぐらかして教えようとせず、実在するかも疑わしかった。

「木嶋佳苗の拘置所日記」の
記述に美由紀が激怒

 もう1つ印象的だったのは美由紀が「東の毒婦」こと木嶋佳苗について、何かと動向を気にしていたことだ。

 佳苗が自分と同じように冤罪を主張しながら死刑判決を受けたことについて、心配するようなことを言ったり、佳苗が裁判中の服装や体型を揶揄される報道があると、「容姿のことを悪く言う報道は酷いです」と怒ったりもした。

 だが、ある時、事態は一変した。佳苗が支援者の協力を得て開設したブログ『木嶋佳苗の拘置所日記』で美由紀のことを揶揄するようなことを書いたのがきっかけだ。

 それ以来、美由紀は私宛ての手紙に、「私は詐欺をしたのを反省していますが、木嶋さんはしていません」「あんな人と比べられたくありません」などと狂ったように佳苗への批判を書いてきた。さらに私にも八つ当たりしてきたから驚いた。

「私の情報を木嶋さんに流すのはやめてください!」

 美由紀は、私が佳苗と裏でつながり、自分を貶めているのではないかと疑ったようだった。私は佳苗と話したことすら一度もなく、そのような疑いをかけられるようなことも一切していなかった。美由紀は自分がよく嘘をつくのに、猜疑心が異常に強かった。

 私は2年ほど美由紀と面会や文通をしたが、最後は付き合い続けるのが難しくなり、取材は辞めさせてもらった。その後、鳥取に取材に行き、驚いたことがあった。