女性は定年後、継続雇用で働く人がもっとも多いものの、男性に比べれば、定年時期に転職する人の割合がやや大きく、働き方はパートが多いことが分かりました。もともと役職や賃金が高い人が少ないため、結果的に定年前後のギャップが小さく、モチベーションが大幅ダウンする人は男性より少ないことも示されました。

 私生活では、男性に比べるとシングルが多く、子がいる人も少ないなど、家族の状況は多様でした。育児や趣味を通じたネットワークは男性に比べて多く、定年後に居場所がなく孤独に陥る、といったリスクは男性に比べれば小さいと言えるでしょう。

女性のほうが定年後の
ウェルビーイングは高い?

 このように見ると、心理面で言えば、女性は男性に比べて、定年後にダメージを抱えるリスクは小さいように見えます。だからと言って、定年後は女性のほうが男性よりもウェルビーイングが高いのかと言うと、そのように結論付けることはできません。

 女性が定年前後で年収や地位のギャップが小さいのは、そもそも定年前の水準が低いからであり、個人の状況によっては、高齢期の低年金と貧困リスクにつながっていくからです。

 女性の定年前の年収や役職が低い大きな要因は、男性に比べて定年前の職務経験とキャリアが乏しいことです。これは単に、男女差別が大きかった時代の、企業の雇用管理の問題だと片づけることはできません。

 実は、これから定年後を見据えてリスキリングや学び直しをして高齢期の職業選択の幅を広げる上でも、チャンスを奪う可能性があることが分かってきたのです。したがって、女性の定年前の職務経験不足とキャリア形成不足について深く考察し、それらを解消、改善するための手段を講じていくことが重要です。