その結果、主にエリア職の女性行員たちが担当していた窓口業務や個人営業部門の人員に余裕が生まれました。そこで、彼女たちの中から、20代から40代までの200人を戦略分野である法人営業に再配置することができました。

 とは言え、エリア職の女性行員は入行以来、預金受け入れやローン、預かり資産の業務に従事してきたので、経営者と話をすることも、決算書を読むこともほとんど経験がありません。そこでごうぎんは、2021年度から、教育体制を組み、1年かけて組織を挙げて女性行員たちを育成していきました。

 まず体制面では、人材開発担当部長をトップとし、事業エリアを6つに分けて、各エリアに1人ずつ、法人営業経験が豊富なベテランを教育専任者として選任しました。教育内容は、まず座学として、人材開発担当部長が21日間、営業時間中に90分間ずつ、融資の基礎知識を教える研修を行ないました。女性行員たちがいつでも復習して習熟できるように、行内のeラーニングシステムに搭載しました。

丁寧に整えられた
教育・フォロー体制

 そのほか、エリアごとに「税理士を招き決算書の見方を学ぶ勉強会」や、取引先製造業の工場を視察させてもらい、「工場で見るべきポイントを学ぶ勉強会」などを企画し、知識やスキルを補いました。

 さらに自己啓発ツールとして、グロービスが提供するオンライン講座を導入し、女性行員たちが自発的に知見を広げ、自信を持てるように学習内容を充実させました。そして研修を終えると、女性行員たちは実際に法人営業の職に就き、上司や先輩に帯同して企業訪問などをしました。

 特筆すべきは、ごうぎんが一方的に研修を提供するだけではなく、丁寧なフォローアップを行なったことです。人事部が統一的な育成カリキュラムを作成し、各支店長が4半期ごとに到達レベルを6段階で評価し、本人の成長度合いに合わせてフォローしました。また、教育専任者や人材開発担当部長が定期的に各支店を訪問して、女性行員たちの相談対応や指導などを行ないました。

 このように丁寧な教育・フォロー体制を整えたものの、肝心なのは、本人たちのモチベーションです。法人営業は税務や財務、法務など、覚えることが多い上、取引先との信頼関係を構築し、経営課題を抽出し、融資につなげるレベルになるまでには最低でも1年はかかります。