その間、目に見える成果が出ないことで、女性行員たちがモチベーションを低下させないように、座談会を開き、互いの悩みや不安を共有する機会を作りました。
さらに、注目すべき工夫が2点あります。1点目は、人事制度との連携です。法人営業はもともと総合職の職務だったので、エリア職の女性たちが就くと、「同一労働同一賃金」に問題が生じます。そこで2022年4月、21年ぶりとなる人事制度改定を行ない、コース別雇用管理制度を廃止し、総合職に一本化しました。
リスキリング中の人員がいても
業務が円滑に行える環境づくり
もう1点は、各支店への配慮です。リスキリング中の人員は、すぐに成果を出すことはできないので、各支店に成果目標を示す際には、リスキリング中の人数を差し引いて、数値を設定しました。
つまり、リスキリング中の人員がいる場合であっても、チーム全体が円滑に業務を進められるような環境を整えつつ、時間をかけて確実に女性行員たちを育てていこうという、組織としての明確なメッセージでもあります。
リスキリングを経験した女性行員たちはその後、本人の意向や適性を見て、法人営業ではなく、本部の企画部門や、以前の業務に再度従事するケースもあります。反対に、法人営業を希望する別の女性行員を、新たに配置するケースもあります。2025年9月末時点では、131人が法人営業・コンサルに引き続き従事しており、うち約9割の114人が指導を受けながら「1人で営業できる」レベル以上に成長しているということです。
『女性たちの定年後――お金・仕事・暮らしのリアル』(坊 美生子、祥伝社)
また、女性行員たちが法人営業に従事したことにより、もともと山陰エリアで法人営業に従事していた経験豊富な中堅行員は、山陽や関西の戦略エリアに配置することができました。
ごうぎんは、リスキリングと同時に、女性活躍や風通しの良い組織づくりも推進しており、女性管理職比率(連結)は課長相当職以上が24.1%(2025年3月時点)。ブランド力も上がり、採用にも効果を発揮しているそうです。
2024年、ごうぎんは「日経リスキリングアワード2024」(主催:日本経済新聞社)で、「企業・団体イノベーティブ部門」最優秀賞を獲得しました。経済産業省と東京証券取引所が女性活躍に優れた上場企業を認定する「なでしこ銘柄」にも2024年度まで2年連続で選ばれるなど、主要な賞を相次いで受賞しています。
山陰地方は、急激な少子高齢化、人口減少、人手不足と、日本企業の経営課題を先取りしている“課題先進地”とも言えますが、だからこそ逆に、限られた人材を着実に育て、最大限に活かす組織風土を形成しているのかもしれません。







