インドのAIジレンマ:グーグルに補助金、地元は水不足インド・ビシャカパトナムのスラム居住者にとって水の供給は懸念事項となっているWater supplies are a concern for slum residents in Visakhapatnam, India.

【ビシャカパトナム(インド)】米グーグルが昨年、この活気のないインド沿岸部の都市に進出した際、政府は大歓迎し、同社が人工知能(AI)用データセンターを建設するのに数十億ドル相当の優遇措置を与えた。

 当時はAIのことを聞いたことがない住民もいた。「ジェミニ」や「チャットGPT」についてはなおさらだ。

 住民がよく分かっているのは、ビシャカパトナムには水が乏しいということだ。データセンターのサーバーを冷却するには通常、大量の水が必要になる。この150億ドル(約2兆4000億円)のプロジェクトのために、多くの住民は過去数十年にわたり耕作してきた土地から追い出された。自分たちのコミュニティーが完全に空洞化してしまうのではないかと懸念する人もいる。

「グーグルが来るのをどうして私たちが喜べるというのか」。耕作を諦めることにしたピラ・コンダマさん(42)はこう話す。ただ、彼女は政府から補償金として8万3000ドルほどを受け取る予定だと認める。「私たちは散り散りになる。とても悲しい」

 データセンターの建設は米国などの先進国で激しい反対に遭ってきた。グーグルやアマゾン・ドットコム、マイクロソフトなどの企業が、新興中間層が出現している地域で拡大するAI需要から利益を得ようと急ぐ中、同様の論争が発展途上国で広がっている。

 多くの場合、その論争は米国内よりもはるかに切迫したものとなっている。