多くの人は、定年後こそ人生を楽しむ時間だと考えている。だがその一方で、自ら気づかないうちに「つまらない老後」を招く習慣を続けている人も少なくない。医師で老年医学・栄養科学の専門家であるガブリエル・ライオン氏が書き、世界20か国以上で続々刊行されている『筋肉が全て━━健康・不老・メンタル、人生のすべてが変わる唯一の方法』からヒントを紹介しよう。(ダイヤモンド社書籍編集局・三浦岳)
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いくらお金と時間があっても……
定年退職後は旅行や趣味を存分に楽しみ、悠々自適な生活を送りたいと、多くのビジネスパーソンが思い描いているだろう。
一方で、実際には歳を取ってからは足腰が弱ったり病気がちで、活動的な老後を送れない人も少なくない。そんな将来を分ける習慣とはいったい何だろうか。
医師で老年医学・栄養科学の専門家であるガブリエル・ライオン著『筋肉が全て』によれば、加齢に伴う体力の低下や健康状態の悪化には、筋肉の減少が深く関わっているという。多くの人はそれを「年のせい」だと考えがちだが、著者は筋肉の重要性を強調し、次のように指摘している。
答えは筋肉の減少だ。
高齢男性の肥満とサルコペニア(筋肉減少症)を調べた研究では、脂肪が多い人より筋肉が少ない人のほうが、ケガのリスクが高く、パフォーマンスへの悪影響も大きいことが判明した。
この研究結果は、筋肉が長寿に関係があるという主張を裏づけるもので、加齢から身体を守るための筋肉強化の重要性を示している。――『筋肉が全て』より
体重が増えること以上に恐ろしいのは、体を支える骨格筋が失われることだ。筋力が低下すればちょっとした転倒が命取りになり、寝たきりの生活に直結してしまう。
「座りっぱなし」で筋肉が弱ってしまう
さらに、筋肉の減少が引き起こすのは身体的なケガだけではない。著者は次のように警告する。
筋肉が衰えると代謝のバランスが崩れ、アルツハイマー病、心血管疾患、高血圧などのリスクが高まる。肥満を克服することがなんとしても必要だ。
筋肉は単なる運動器官ではなく、私たちの代謝を支配し、全身の細胞に影響を与える物質を血液中に放出する「内分泌器官」に等しい役割を持つ。筋肉が衰えると全身の代謝が狂い、認知症や心疾患といった致命的な病気のリスクが跳ね上がるのである。
筋肉が少ないと、ほとんどすべての病気への抵抗力がなくなる。逆に質のよい筋肉が多くあるほど長生きすることができるのである。――同書より
どんなに老後の資金を蓄えても、健康な身体がなければ豊かな生活を謳歌することはできない。「つまらない老後」を招いてしまう最悪の習慣は、若いころからの「運動しない生活」である。
これを避けるための唯一の方法は、筋肉という病気から身を守る「天然の鎧」を自らの意思で鍛え続けることだ。未来の自分のために、今日から座りっぱなしの習慣を捨て、いますぐ筋トレを始めよう。
(本記事は、ガブリエル・ライオン著『筋肉が全て━━健康・不老・メンタル、人生のすべてが変わる唯一の方法』に関連した書き下ろし記事です)
医師(DO)
イリノイ大学で栄養科学の学部課程を修了後、セントルイス・ワシントン大学において老年医学・栄養科学の臨床・研究フェローシップを修了。健康、パフォーマンス、老化、疾病予防におけるタンパク質の種類および摂取量の実践的応用に関する分野の専門家、教育者として活躍している。筋肉についての最新研究を網羅した本書は全米で大きな話題を呼び、ニューヨーク・タイムズベストセラー、ウォール・ストリート・ジャーナルベストセラー、USAトゥデイベストセラーとなり、世界各国での刊行が続いている。







