今年のサッカー・ワールドカップ(W杯)は北米の集合的な野心を示す場として宣伝された。米国・メキシコ・カナダが二つの国境をまたぐ前例のない大会を成功させ、長年にわたる貿易・文化面のつながりを世界に示す機会とされていた。しかし実際には、世界で最も人気のあるスポーツイベントの今大会は、開催国間の関係がかつてないほど揺れ動く時期にその緊張を図らずも浮き彫りにすることとなった。W杯の開幕までに、貿易や安全保障、米国の厳しい移民政策を巡る口論が相次いだ。キックオフの数日前には、メキシコのクラウディア・シェインバウム大統領が米国による内政干渉を非難した。ドナルド・トランプ米大統領はカナダを51番目の州にするという主張を再び持ち出し、米・メキシコ・カナダ間の自由貿易協定の将来にも疑問を呈した。