【依存の作り方1】 脳に「SNS → 快楽」の連想を植えつける
「依存というものはその対象が何であれ、『頻度』と『量』が増えれば進んでいきます。ギャンブルもタバコも、より頻繁により大量に接するようになれば、それだけ依存は深くなります。SNSへの依存も同じです」
彼は「まずは頻度ですが――」と説明を続けます。
出席者はみな、真剣そうに聞いています。
彼らは違法でない限り、あらゆる手段を正当化して考えるので(そのように考える人物が選ばれているので)、「ユーザーを依存させる」という説明にも嫌悪感を示しません。
「より頻繁にSNSを開かせるために、ユーザーの脳にある学習をさせます」
スライドが送られました。
――『SNS → 快楽』の学習――
「SNSは脳に快楽を送りこむシステムです。ユーザーはSNSを見ているあいだ、変わり映えのしない日々の退屈も、苦しい現実の不安もほとんど忘れることができます。刺激的なコンテンツが頭を埋めつくすためです。
そんなアプリを開くと、0.3秒後には脳に快楽物質が届いています。これをくり返せば、どんな脳でも『SNSを開けば快楽が得られる』と学習します」
話のスピードは、だんだんと速くなっていきます。
「学習が進むとやがて脳は『SNSを見たい』という欲求を制御できなくなり、さらに依存は進みます。その頃には、こちらからきっかけを与えなくてもユーザーは自らスマホを開くようになっています。
するとSNSはアスファルトの隙間に染みこむ泥水のように、彼らの生活のわずかな余白をも満たしていくでしょう。移動時間はもちろん、信号待ちやお手洗いのような秒単位の時間ですらも」
彼は続けて、そのような依存を起こす具体的な方法を説明しました。
①ユーザーの関心を正確に把握する
人には誰にも「思わず反応してしまう話題」がある。有名人の言動・ゴシップ、お金やビジネス・男女関係など。
そのような関心はユーザーの閲覧行動などから、かなり正確に把握できる。それに従ってコンテンツを表示すれば、高確率で満足感(快楽)を与えられる。
②通知を送り続ける
スマホの通知が快楽を生む力は、一般に思われているよりはるかに強い。快楽発生のためには、通知が目に入る必要すらない。
ポケットの中でバイブを感じた瞬間に脳は「通知だ! さっきの投稿への反応か?」などと考え始め、その「期待感」そのものが快楽物質を放出する。
もちろん文面を確認したりアプリを開いたりすれば(「当たった!」「外れた」といったギャンブル的な反応も手伝い)さらに快楽は大きくなる。
③アプリを開くたびに、新しい情報を見せる
アプリを開くたびに毎回、まだ見たことのないコンテンツ、「いいね」やコメントなどの反応を表示する。
何も操作しなくてもアプリを開くだけで、必ずそれらが目に入るようにする。
するとアプリを開いた瞬間にいつも快楽が得られる状態になり、「このアプリを開く → いいことがある」という学習が強まり、依存が深まる。



