――そこまでできるのですね。
大熊 自分たちが星空を楽しむためのソフトを作ろうとした結果、進化しました。ここまで高精度の天文シミュレーション技術を保有しているのは日本で当社だけなので、この技術を活用した製品の開発を国立天文台やJAXAなどから定期的にオーダーいただいています。
さらに、この技術を生かして、デジタルプラネタリウム投影ソフトを開発し、投影機器も併せて、全国のプラネタリウムに納入するようになりました。今では100館弱のプラネタリウムで当社製品が使われています。
――創業以降、順調に成長されているように見えますが、波はあったのですか?
大熊 波だらけです。ソフトは3~4年ペースで販売しますが、初年度に売り上げが集中するので、2年目以降は減ります。三つのソフトの発売時期をずらしていますが、限界はあります。さらにプラネタリウムの事業は代金を頂くまで、高価な投影機器類の仕入れ代金を数百万円立て替える必要があるので、仕事が重なると資金繰りが難しくなります。
そんな事業特性を理解し、力を貸してくださったのは興産信用金庫さんです。飛び込み営業をきっかけに月に2回ほど定期的に訪問して話を聞いてくださり、つなぎ融資をしてくださるようになりました。本当に助かりましたね。困ったときに相談しやすいのが、信用金庫のよさだと思います。
――今後の抱負をお聞かせください。
創刊25周年を迎えた雑誌『星ナビ』や『星空年鑑』などを発刊している(左)。ロングセラーの天文シミュレーションソフト「ステラナビゲータ」(右)。
大熊 当社の製品が入っているプラネタリウムや観望会で、子どもたちが惑星や星空を見て「わ~、きれい!」と喜ぶ声を聞くのが、この仕事をしていて最もうれしい瞬間です。そんな瞬間をもっともっとつくり出したい。そのためには、星空の楽しみ方を天文ファン以外の方にも広めていきたいと考えています。
天文情報をわかりやすく提供する月刊誌『星ナビ』や、何月何日にどんな星空が見えるかをガイドする『星空年鑑』などの出版物の他、近年は「星空ナビ」というスマホ用アプリも開発しました。現在地から見える天体の位置を簡単に確認できるので、これをきっかけに星空への興味を持ってもらえればと考えています。また、プラネタリウム以外にも、星空の楽しみを体験できる場所を増やしていきたい。やりたいことが多過ぎますが、生涯を通して実現させたいですね。
(取材・文/杉山直隆、「しんきん経営情報」2026年7月号掲載、協力/興産信用金庫)
事業内容:天文関係のソフトウエア開発、書籍および雑誌の編集・販売
従業員数:18人
売上高:2億7521万円(2025年3月期)
所在地:東京都渋谷区富ヶ谷2‐41‐12
電話:03‐5790‐0871
URL:astroarts.co.jp







