国立天文台も認めたシミュレーション技術で星空の楽しみを世の中に広める

――天文関係の事業を手がけているそうですね。起業の経緯を教えてください。

大熊 原点は小学4年生の体験です。当時、渋谷にあった五島プラネタリウムに課外授業で行き、その夜、夕涼みをしながら祖父や父に「きれいな星空を見たよ」と話していたら、見上げた空に巨大な流れ星が流れたのです。それで天文の面白さに取りつかれました。

 大学卒業後に入社したアスキーで「天文の仕事がしたい」と希望し、天文関連の冊子や日本初の天文シミュレーションソフトを制作したところ、このソフトが好評だったことから、「さらに優れたソフトを作ろう」と社内のソフト開発者と独立し、会社を立ち上げました。

――まずはソフトウエアの開発から始まったのですね。

国立天文台も認めたシミュレーション技術で星空の楽しみを世の中に広める代表取締役・大熊正美(おおくま・まさみ)氏。1954年東京都生まれ。東海大学理工学部卒業後、アスキー入社。『月刊アスキー』の編集長を務めた後、91年にアストロアーツを設立し入社、92年に代表取締役就任。

大熊 はい。そうして1992年に発売したのが「ステラナビゲータ」。現在も主力商品であり続けている天文シミュレーションソフトです。約2万円する高価格のソフトでしたが、天文ファンから熱烈な支持を頂き、初年度から1万本以上が売れました。3~4年ごとにバージョンアップを重ね、現在はバージョン12。もうすぐ35周年を迎えます。

――ロングセラーですね。特色は?

大熊 過去・未来それぞれ10万年前後の、地球上のあらゆる場所の星空を正確に再現できることです。恒星や星座、月、惑星はもちろん、小惑星や彗星、流星、人工衛星まで表示でき、日食や月食などの天文現象も正確にシミュレーションできます。場所やレンズの焦点距離などの条件を入れると、望遠鏡やカメラの画角が表示されるので、観測・撮影計画を自宅で容易に立てられます。

 さらに「ステラショット」というソフトを合わせて使うと、カメラや望遠鏡をパソコンで制御し、ナビゲーターで導き出した画角の天体写真を自動で撮影できるようになります。また「ステライメージ」という天体画像処理ソフトで補正すると、誰でも美しい天体画像を仕上げられます。例えば東京で撮影した画像でも、都会の光を除去すれば、鮮やかな銀河や彗星などが現れます。