
「軽くて、強く、腐食しない」――21世紀の先端機能材料といわれ、航空宇宙分野や自動車を中心に、あらゆる産業で幅広く使われる炭素繊維(カーボンファイバー)。その特性を存分に引き出した、全く新しいフィギュアスケート靴「Tobiha(トビハ)」が注目を集めている。
手がけたのはカーボンファイバーの加工技術を強みにレース用自動車部品などを展開するティーワン。「協力いただいたスケーターと、メーカーによる本気の挑戦から生まれたスケート靴です」。同社代表取締役・松本哲也氏はそう語る。
代表取締役・松本哲也氏
もともと、会社員時代からカーボンファイバーを専門に、レース用自動車部品などのものづくりに従事していた松本氏。転機となったのが、「1997年、長野冬季五輪に向け、スピードスケートの清水宏保選手のシューズ開発に携わったことでした」(松本氏)。
スピードスケートについてゼロから学びながら試行錯誤を繰り返し、軽量でフィット感があり、適度なたわみを実現したシューズが完成。清水選手はそのシューズを履き、翌年の長野冬季五輪で金メダルを獲得した。
この経験を起点に、「カーボンファイバーを活用すれば、全く新しいフィギュアスケート靴にもアプローチできる」という確信めいた思いを抱いていた松本氏。独立を決意し、地元のさがみ信用金庫の助言を受けながら、レース用自動車部品製造を主軸に、自社製品開発に挑む。
苦節8年の開発を経て
理想のスケート靴が完成
2012年には競輪選手と競輪用シューズの共同製作をスタートし、実績を積み重ねていく中で、18年にはフィギュアスケート用カーボンシューズ開発に乗り出す。そこで心強いパートナーとなったのが、清水選手の紹介で出会った元フィギュアスケート五輪代表の小塚崇彦氏だ。







